映画と文学一覧

書評・小説 『ラブ&デス』 ギルバート・アデア

またまたロングアイランド好きの私にもたらされた朗報。ロングアイランドを舞台にしたこちらの小説、しかも、著者はこの間観たベルトルッチ監督の映画『ドリーマーズ』の原作者でもあるギルバート・アデアで、こちらの作品も1997年に映画化されているという。これは読むしかない。

「多芸は無芸」というけれど、そういう言い方は無芸な側のやっかみも入っているかもしれなくて、ギルバート・アデアみたいな才人を見ていると、やっぱり「多芸は多芸」だなあ、という気がしてくる。

映画評論家。文化批評家。翻訳者。作家。そのどの仕事を見ても、何かかならず、アデア独自のひねりが効いている。

自身も文芸評論家、翻訳者、東京大学名誉教授、と多芸ぶりを見せつけている柴田元幸さんがあとがきで述べている。

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レビュー・映画 『ドリーマーズ』

2003年公開、イギリス・フランス・イタリア制作。監督はベルナルド・ベルトルッチ。主演はマイケル・ピット、エヴァ・グリーン、ルイ・ガレル。2003年ヴェネツィア国際映画祭のプレミア上映作品。

映画は節操なく思いついたものを何でも観てしまい、特にこれといった趣向も主義もないのだけど(読書もそうだけど)、唯一、好きな映画監督をあげるとしたら、ベルトルッチかもしれない。一番好きなのは『シェルタリング・スカイ』で、映画作品から入って、ポール・ボウルズの原作も2、3度読み直した。『暗殺の森』や『ラスト・タンゴ・イン・パリ』など昔の作品も好きだが、『魅せられて』や『シャンドライの恋』などは、嫌いではないがさすがに早熟の天才監督の勢いも少し衰えたなあ、という感じで、そのままこの『ドリーマーズ』を観忘れていた。昨年亡くなったこの巨匠を偲んで、そう言えば観忘れていたこの作品を観てみた。 続きを読む



書評・小説 『満州国演義五 灰燼の暦』 『満州国演義六 大地の牙』 船戸 与一

船戸与一遺作となる『満州国演義』シリーズの第5巻と第6巻。第5巻では、内蒙古、回族、ウイグル、トルコ、そしてドイツやソ連などの列強国を巻き込みながら、燻り続ける満州問題はやがて日本対中国の全面戦争、支那戦争へと拡大していき、戦火は上海から現在も大きな禍根を残す南京事件へと広がっていく。第6巻では、日本では軍部独裁への準備が着々と進んでいき、世論もそれに迎合していく中で、ロシアと中国に挟まれて徐々に追い詰められていく日本軍は、ノモンハンという悲惨な戦いを経験する。

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レビュー・映画 『つぐない』

2007年公開、イギリス、フランス、アメリカ制作。『プライドと偏見』で評判の高かったジョー・ライト監督とキーラ・ナイトレイのコンビ第2弾。第65回ゴールデングローブ作品賞、第80回アカデミー賞では7部門にノミネートされ、やはり『プライドと偏見』で音楽を担当したダリオ・マリアネッリの作曲により、作曲賞を受賞した。 続きを読む