レビュー・映画 『イン・ザ・カット』

2003年公開、アメリカ映画。『ピアノ・レッスン』で女性監督初のカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞した、ジェーン・カンピオン監督の作品。「ピアノ・レッスン」を観たのは高校生の頃だったと記憶しているが、作品に終始一貫して漂うエロティックで甘美で残酷な雰囲気、その映像と音楽の激しさと美しさが強く印象に残っていた。 続きを読む

レビュー・映画 『女王フアナ』

2001年スペイン制作。スペインの巨匠、ビセンテ・アランダが監督と脚本を務めた。本国で大人気を博し、ゴヤ賞、サンセバスティアン映画祭主演女優賞などを獲得した。 続きを読む

名言・名句・名文 『項羽と劉邦』』 司馬 遼太郎

項羽は劉邦にくらべーーというより誰に対してもーーけたはずれに強い自己を持っていた。自己という呼称の生き物といってよく、なみ外れて多食し、その太い頸を多量に通過してゆく咀嚼物はすぐさま力になって欲望にかわった。・・・この炎のために、項羽は他人の心といううものが見えにくかった。このことは項羽に攻略や戦略という感覚を欠かせてしまったことと無縁ではない。さらにこのことは、馬を愛し、女を愛することにもつながった。その愛し方ははげしすぎるというよりも、自己の延長もしくは自己そのものとして愛しているようであった。


名言・名句・名文 『失われた横顔』 フランソワズ・サガン

私は夫を愛した、愛し方が足りなかった、愛しすぎた、うまく愛せなかった、と?私が答えることを拒否しないとしても、真実として何と答えたらいいのだろう。しかも、アランも認めるような真実を・・・。これが最悪の別れというものだろう。別れるだけでなく、それぞれ異なった理由で別れるということが。あんなにも幸せで、あんなにもからみ合い、あんなにも親密だったのに、現在では、ただ一つの真実とは、道に迷い、うつろな瞳で、砂漠の中で切断されることのない道を探すことなのだ。


レビュー・映画『ラスト・コーション』

2007年公開、アメリカ・台湾・香港制作。台湾の鬼才アン・リー監督が、アイリーン・チャンの短編小説『色・戒』を原作に映画化。第64回ヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞、『アモーレス・ペロス』や『ブロークバック・マウンテン』などを手がけたメキシコの撮影監督ロドリゴ・プエトは、本作で撮影賞を受賞した。第二次世界大戦中、日本占領下の上海と香港を舞台に、権力を握る男と、その男の暗殺を目的に男の愛人になりすました女との、息詰まるような関係が描かれる。 続きを読む