読書と教養　BOOK＋– category –

寒い戸外で温かいものをたべると、たべたものの大きさ分の温かさが、喉を通って胃に落ちるのがはっきりわかる。 『彼女たちの場合は』

通りすぎてしまうからだ、と、ふいにわかった。この場所も、ここにいる人たちも、自分はもうすぐ通りすぎてしまう。通りすぎて、たぶん二度と会わない人や物や場所を、嫌いになるのは難しい。 『彼女たちの場合は』

よく知っている自分？川ぞいの道を歩きながら、逸佳は自問する。それはどういう自分なのだろう。頑固？社交下手？小心者？気難し屋？どれも事実だとは思うが、それらとは違う何かだという気もした。（略） 昔は駅舎だっという倉庫群を通りすぎながら、一人...

イブ・サンローラン展に行ってきた。場所は、東京都の六本木にある国立新美術館。2008年のイブ・サンローラン没後としては、日本最大の展覧会である。12月11日までの開催だが、巡回の予定はまだ決まっていないようだ。 美術系の展覧会にはよく脚を運ぶが、...

嘘の力はね、とダニエルが言った。いつだって、力を持たない人間にとっては魅力的に見える。 『秋』　アリ・スミス　木原善彦訳