読書と書評一覧

書評・小説『ゴールド・コースト』 ネルソン・デミル ①

いやーとにかく面白かった。どれだけ面白いって、「あとがき」を読んで納得。この本の帯「この小説の面白さは類がなくて読めば分かるとしか言えません」というのを読み、「おもしろさを、ずばりひとことで表現してみせるのが、編集者の才能ではないか、編集者の敵前逃亡だ!」と憤慨した鬼編集者が、読後にあっさり前言撤回、「あのコピーはまさしくそのとおりだった」と言って、雑誌2回に渡って魅力を詳述した、というエピソードが、よく表しているだろう。結局、私も、長々と記事を書くことになってしまった。 続きを読む


書評・小説 『満州国演義一 風の仏暁』 『満州国演義二 事変の夜』 船戸 与一

池澤夏樹の『静かな大地』の記事を書いた時、インスタのフォロワーさんにご紹介いただいた本。外浦吾朗の名前で有名な『ゴルゴ13』を書いた作家さんで、普段ハードボイルドな作品を全然読まないので船戸与一の作品自体も初めてだったが、一度太平洋戦争に至る経緯を詳しく読んでみたいと思っていたので読み始めたら、面白くて止まらない止まらない。作者が癌と闘病しながら9巻完結まで書き上げて絶筆となった遺作で、まだまだ先が長いので、2巻ずつまとめてみた。 続きを読む



書評・小説『風の歌を聴け』 村上春樹

言わずと知れた村上春樹のデビュー作である。

村上春樹の小説は一通り読んでいるので、こちらも10年以上前に読んでいるはずだが、それほど印象に残っていなかった。佐渡島庸平さんがWe are lonely, but not aloneの巻末に色々お薦めの図書を紹介していて、その中《最も繰り返し読んだ作品。村上春樹作品の中で、この処女作が最も好き。削れる一文を探そうとして読み返しても、どの一文も呼応し合っていて、どれも削れない。完成度がすごく高い小説だと思う。》と大絶賛していて、再読しようかなあ、と少し前から気になっていた。 続きを読む