文化史一覧

書評・新書 『文芸サロン その多彩なヒロインたち』 菊盛 英夫 ②

革命後のフランスでは、文芸サロンの役割は、カフェやそこで発達したジャーナリズムに分散されていき、強烈な愛国者であるジュリエット・アダンのような政治色の濃いサロン、或いは画商アンブロワーズ・ヴォラールが印象派の画家たちを集めたような、パトロン・スポンサー的意味合いの強いサロンなどが登場してくる。また、作家たちが経済的に自立することにより、フロベールやゾラや、現在もフランス最高峰の文学賞として名前を残すエドモン・ド・ゴンクールなど、作家自身がサロンを開くことになってきたのも、資本主義の成熟してきた社会の風潮をよく表していると言えるだろう。パトロンやスポンサーという観点からサロンというものの変遷を考えてみるのも、非常に重要な視点だろうと個人的に考えている。 続きを読む


書評 ・新書 『文芸サロン その多彩なヒロインたち』菊盛 英夫 ①

西欧の文芸サロンを古くはルネサンス期のイタリアから20世紀初頭のプルースト『失われた時を求めて』で描かれるようなフランスサロンの衰退期に至るまで、サロンの女主人公を紹介しながら纏めたもの。新書なのでやや羅列的なところはあるが、ドイツ文学史の先生だけあって、哲学史・文化史的な観点が随所に見られて面白い。

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レビュー・映画 『ドリーマーズ』

2003年公開、イギリス・フランス・イタリア制作。監督はベルナルド・ベルトルッチ。主演はマイケル・ピット、エヴァ・グリーン、ルイ・ガレル。2003年ヴェネツィア国際映画祭のプレミア上映作品。

映画は節操なく思いついたものを何でも観てしまい、特にこれといった趣向も主義もないのだけど(読書もそうだけど)、唯一、好きな映画監督をあげるとしたら、ベルトルッチかもしれない。一番好きなのは『シェルタリング・スカイ』で、映画作品から入って、ポール・ボウルズの原作も2、3度読み直した。『暗殺の森』や『ラスト・タンゴ・イン・パリ』など昔の作品も好きだが、『魅せられて』や『シャンドライの恋』などは、嫌いではないがさすがに早熟の天才監督の勢いも少し衰えたなあ、という感じで、そのままこの『ドリーマーズ』を観忘れていた。昨年亡くなったこの巨匠を偲んで、そう言えば観忘れていたこの作品を観てみた。 続きを読む


クリスティーナ女王

スウェーデン女王クリスティーナ。本名はクリスティーナ・フォン・シュヴェーデン(後に改宗してクリスティーナ・アレクサンドラ)。1626年ヴァーサ朝スウェーデン王のグスタフ・アドルフの子として生まれ、父王の死後、わずか6歳で即位。 続きを読む


タンサン夫人

クロディーヌ=アレクサンドリーヌ・ゲラン・ド・タンサン(1682〜1749)は、18世紀フランスの最も有名なサロンを開いた。ダランベールの生みの母としても有名だが、若い頃に砲兵隊将校デトゥシとの短い情事で赤子を授かった彼女は、生後まもなくその子をパリのサン・ジャン・ル・ロン教会の階段に置き去りにした。 続きを読む