物語を作る人間は誰でも一つの世界を作っている、とダニエルは言った。だからいつでも、自分の物語という家(ホーム)に喜んで人を迎え入れるようにしなさい。それが私からの提案だ。
話を作るのと、喜んで人を迎え入れるのと、どう関係があるの?
私が提案しているのは、とダニエルが言った。もしも話を作るのなら、自分に同じことが起きた場合にありがたいと思うように、登場人物のために話を変更する余地を残しなさいということさ。(略)
手助けとして、話を変更する余地が必要だ、とダニエルは言った。(略)まったく他の選択肢を持ってなさそうな人物でも、ということ。登場人物には常に家(ホーム)を与えるようにしなさい。
『秋』 アリ・スミス 木原善彦訳
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