『ぼくキャンプにいったんだ』
作:わたなべしげお 絵:おおともやすお
出版社:あかね書房 くまたくんのえほん7
子どもが共感しやすいくまたくんシリーズ。今流行りのアウトドアに興味をもつきっかけにもなります。
<概要>
夏休み。くまたくんはおとうさんとおかあさんとキャンプに出かけます。それぞれ色んなものをワゴンに詰め込んでさあ出発!途中の道路の渋滞、波止場での休憩、テント張りに川遊びに飯盒炊さん。夜の焚き火もぜーんぶ、初めてのことばかりです。
<おすすめタイプ>
3歳ぐらいから。くまたくんシリーズの中では、少し文章が長めになります。
<おすすめポイント>
くまたくんシリーズは、迷子になったりプールに入ったり、小さい子どもが誰でも体験する初めてのあれこれを、可愛いくまたくんが再現してくれる楽しいシリーズ。書かれた時代も昭和で、どれもシンプルな内容ですが、小さな子どもの「あるある」をしっかり捉えていて、今読んでもとても新鮮で共感できます。
この『ぼくキャンプにいったんだ』でも、色々なキャンプ道具を準備するお父さんとお母さんの横で、ミニカーやらおやつやら自分の荷物を詰め込むくまたくん、松葉を絡ませて引っ張りっこをする<まつばずもう>を、「もっともっと」と何度もやるくまたくんの様子など、さりげなく上手く捉えていて、「うちの子と同じ!」と共感するママも多いのではないでしょうか。
キャンプにはいろんなものを持っていかなきゃいけないんだな、とか、電気が無いから川の水で冷やしたりするんだな、とか、キャンプの大変さを想像するきっかけにもなります。コロナの影響もあり、今はアウトドアブームです。小さい子供を連れての本格的キャンプは大変ですが、この本で興味を持ったら、まずは日帰りのバーベキューとか、手軽なグランピングとか、から初めて見るのもいいですよね。(実際、この本のキャンプはかなり昭和なキャンプなので、今はもっと色々便利になってます。)
キャンプの手順だけではなくて、例えば、海岸沿いの道から見たいつもとは違う電車を見つけたり、山の中のトンネルのごうごうという音、小さな魚を釣り上げた喜びと驚き、キャンプの静かな夜に響く梟の鳴き声や、お父さんの心臓の音、など、敏感な子どもの鮮やかな印象を表現してくれているのも、子どもが共感しやすいポイントだと思います。
作者の渡辺茂雄さんは、あの『エルマーのぼうけん』や『どろんこハリー』など、幾つもの名作絵本の翻訳を手掛けましたが、この『くまたくん』のシリーズや『しょうぼうじどうしゃじぷた』など、日本語の絵本もとても素敵です。他の『くまたくん』シリーズも是非お試しください。きっと、読んでいるママも、子供の「あるある」が発見できて、楽しい気分になれますよ。
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