『そらまめくんのベッド』
作:なかや みわ 出版社:福音館書店
発想と着眼点が面白いなかやみわさんの絵本の中でも特に人気のシリーズ。
《概要》
そらまめくんのベッドは、雲のようにふわふわでわたのように柔らかい。お友達のえだまめくんやグリーンピースのきょうだいたちが「そのベッドでねむってみたいな」と言っても、そらまめくんは「だめだめ」と使わせてくれません。ところがある日、その大事なベッドが無くなってしまって、、、お友達は親切にベッドを貸してくれますが、そらまめくんには中々大きさが合いません。やっと見つかったベッドには、なんとうずらの赤ちゃんが隠れていました。
《おすすめタイプ》
3歳くらいから。男の子でも女の子でも楽しめます。
《おすすめポイント》
なかやみわさんの絵本は比較的新しい絵本ですが、あっという間に人気シリーズになりました。「くれよんのくろくん」「どんぐりむら」などのシリーズも面白く、うちの子供たちも大好き。どれも面白いのですが、私が個人的に一番好きだったのがこれ「そらまめくん」シリーズです。
「おまめ」が出てくるお話はたくさんあるけれど、おまめの「さや」をここまでフォーカスしたお話はかつてないのではないでしょうか(笑)初めて読んだ時、「なるほど、そう来るか!」と感心してしまいました。そらまめって形も面白いですが、さやの中のわたがまたなんとも面白いですよね。
子供はあまりそら豆なんて食べないので、まずはそら豆を実際に見るところから始めます。で、他のお豆も色々比べてみて、なるほど、豆の形や大きさもさやの様子もそれぞれに違うね、と話が広がる。そんなきっかけからお豆に興味が出て苦手なお豆も食べられるように!!、、、なんて、うまくはいかないですが(笑)、少しでもお豆に興味が出て身近なものになってくれるだけでも良いかな、と思います。ちなみに、そらまめ自体に興味を持ったら、昔懐かし、漫画日本昔話に「空豆の黒い筋」という超絶くだらない話がありますので、是非観て観てください(笑)
なかやみわさんの絵はキャラクターがとてもコミカルで親しみやすいのと、細部まで楽しめる仕掛けがしてあります。この本でも、おまめくんたちの表情がとても豊かなのと、おまめくんたちのお家や原っぱの周りの虫や植物など細かいところまで描きこんであるのが楽しめます。絵が面白いのは、「どんぐりむら」シリーズが一番かもしれません。
見た目の面白さやとっかかりやすさだけでなく、ストーリーが子供の心をよく捉えているのも、なかやみわさんの絵本の良いところ。この本であれば、最初はそらまめくんが自分の大事なベッドをお友達に貸してあげないのに、困ったそらまめくんにお友達がベッドを貸してくれる、そういう過程を経て、そらまめくんの心境がだんだん変化していくドラマがよく描かれています。大事なものを「貸して」と言われて「やだ!」と言ってしまう心理も、でも、それではお友達同士で共有する楽しみが広がらない、という葛藤も、小さい子なら誰でも体験したことがあるはずです。
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