ポルノ規制が、年齢や文脈によってアクセスできる情報を制限するゾーニングや、有害と思われる情報を自動的に検出・排除するフィルタリングのような手法で、「見たくないものを見ない自由」を擁護することはよい。だが、それがどんなに残酷な想像力であれ、表象の生産そのものを取り締まることはできないし、そうしないほうがよい。表象と現実との関係は反映や投射のような単純なものではない。むしろ夢のように、現実に対して代償や補完のような役割を果たすことが知られている。わたしたちは想像のなかで何度も人殺しをしているからこそ、実際にはだれも殺めずにすんでいるのかもしれないのだから。
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