『月とかがり火』 チェザーレ・パヴェーゼ


 

チェザーレ・パヴェーゼは、イタリアのネアレアリズモを代表する作家の一人。ネアレアリズモと言えば、1940-50年代にイタリアの映画と文学の世界で盛んとなった運動で、私の好きな作家『軽蔑』のアルベルト・モラヴィアなどもその代表的作家と言われている。

私はもともと、イタリア文学と相性が余り良くなかった。全然駄目、というのではなくて、ノッてこないと読み切れず、しかも、ノッてくるのに少々時間がかかるのだ。でも、ノッてきて最後まで読み終わると、手ごたえのある印象深い作品が多いことも事実。この『月とかがり火』も本当に素晴らしい作品で、後半は一気に読み終えてしまった。

とにかく、風景や場面の描写が本当に生き生きとしていて、心を奪われる。特に主人公の少年時代の村の様子や、奉公に出ているお屋敷のお嬢さんたちの様子。嘘ではなく、ほんとに美しいイタリアの田園地方に佇んで、同じ空気を吸い、同じ景色をこの目で見たことがあるような気がしてくる。草や麦の匂いまで風に運ばれて漂ってくるような・・・美しいだけじゃなくて、人間の孤独や貧しさや悲哀なども描かれていて、それなのにどこかさらっとしていて、、、ほんとの名作だな、と思う。
どうでもいいのだが、私は、フランスの小説は好きなのに、フランスの映画が苦手で、イタリアは映画はすごく好きなのに、小説になるとイマイチ合わなかったりすることが多い。フランスの理屈っぽさやまわりくどさが、文字にすると面白いけど、映画にするとなんか鬱陶しくてすっきりしない。イタリアの素朴さや感覚的なところが、映画にするとぴたっと感性に合うのに、本になるといまいちつかみどころがなかったりする、、、勿論、作品や作家ごとに差異はあるが、この傾向は年々自分の中に強く感じる。そういうお国の文化的傾向ってあると思いませんか?・・・ほんとにどうでもいい話でスミマセン。

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