『フランクリンの空とぶ本やさん』
文:ジェン・キャンベル 絵:ケイティ・ハーネット
訳:横山 和江 出版社:BL出版
読めばきっとみんな本が大好きになる。懐かしさと新しさの混じった現代の名作絵本。
《概要》
ドラゴンのフランクリンは本が大好き。本を読んであげるのが大好きなので、町の人にも読んでもらいたい、と思っていますが、大人たちはドラゴンの姿を怖がって逃げてしまいます。ところがある日、一人の女の子が現れて友達になり、一緒に町の広場へ。最初は怖がっていた大人たちも、女の子に説得されて、いつしかみんなフランクリンの背中に乗っていました。
《おすすめタイプ》
読んであげるなら4、5歳から。小学生低学年でも楽しめます。動物好き、ドラゴン好き、本好きの子。男の子女の子どちらもおすすめ。
《おすすめポイント》
2018年初版という新しい絵本です。ある日、上の娘が「これ、きっとママが好きだと思って借りてきた」と、小学校の図書室から借りてきてくれました。もうその通り、ビンゴ!です。たちまちフランクリンの魅力の虜になり、ネットで買い求めてしまいました。子どもが一緒に絵本を読んでいるうちに、母親の趣味が分かってきたのもなんだか嬉しい。
とにかく絵が素敵。イラストレーターのケイティ・ハーネットは、ボローニャ国際絵本原画展で何度も入選しています。淡い色調、可愛らしい動物やドラゴン、家の中や町の様子も細やかに描かれています。伝統的な絵画風のタッチと、現代アート風のデザインが見事にミックスされています。
お話の中身も、ドラゴンやアーサー王物語やバイキングが出てきたと思ったら、電動ミキサーのお菓子の作り方やカモミールティーやクレームブリュレも登場。古き良きものと新しい今風のものとが絶妙にマッチしています。ドラゴンに乗る、というのは昔からお伽話にもよく出てくるパターンですが、そこにソファと本棚を据えて本屋さんにしてしまう、と言うのがまた斬新。ネズミたちが楽しい音楽を演奏し、女の子のルナがケーキを配って、なんだか今流行りの素敵なブックカフェ風な演出が楽しい。物語ばかりではなくて、実用書や漫画までカバーしているところも、今風のブックカフェを連想させます。
ドラゴンのフランクリンは、『エルマーのぼうけん』のボリスに匹敵する、絵本界きっての魅力的なドラゴンだと思います。(ボリスも可愛いけどね)本が好きな人なら誰でも、フランクリンのお話を聞きたい、そして、フランクリンの背中で本を読みたい!という気持ちになるはず。正直、子どもが気に入っても気に入らなくても、自己満足の為に持っておきたいくらい大好きな本です(笑)でも、子どものお気に入り、だけでなく、ママのお気に入り、もあってもいいと思いませんか?ママが心から絵本を読むのを楽しみにしていたら、子どももきっとママと一緒に絵本を読む時間がさらに大好きになると思いますよ。
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