『あおくんときいろちゃん』 作:レオ・レオニ 訳:藤田圭雄 出版社:至光社
絵本だけど、絵本じゃないみたい。子供の想像力がどこまでも広がる、レオ・レオニの最高傑作。
<概要>
有名なレオ・レオニが、自分の孫のためにつくったという、ちぎり絵の絵本。主人公は、紙を手でちぎったただの「まる」の「あおくん」と「きいろちゃん」。
仲良しの「あおくん」と「きいろちゃん」。ある日、通りでばったり会えたふたりはあんまり嬉しくて、とうとう合体して「みどり」になってしまいます。ところが、楽しく遊んでお家に帰ると、それぞれのパパとママに「うちのこじゃない」と言われてしまう。悲しくなって泣いて泣いて、とうとう涙になってしまったふたりは、またもとの「あおくん」と「きいろちゃん」に戻って、今度はパパとママもふたりのことが分かってめでたしめでたし。最後は、ふたりが「みどり」になってしまったわけが分かった親たちまで、うれしくて一緒に「みどり」になってしまうという楽しいラスト。
<おすすめのタイプ>
年齢は、1から5歳まで幅広く。男の子でも女の子でも楽しめます。
<おすすめポイント>
まず絵が面白い。いきなりちぎれたまるい紙きれがあって「あおくんです」と始まれば、1歳くらいの子でも理解できるし、「なになに?」と興味が沸きます。レオ・レオニの絵本はみんなそうですが、平面的な絵ではくて、「もの」の質量感がある絵なのが、小さい子にはすごくウケるんですね。
読むところも少ないので、小さい子供でもついていけるし、なにしろ絵がシンプルなので、ママが読みながら適当に省略したり変えたりもできる。絵本というより、お話をしてあげているような感覚。
子供が小さい頃は、学校の教室の様子とか「はないちもんめ」のゲームが分かっていないので、そのシーンは「もういいかい?まーだだよ」って勝手に、大好きなかくれんぼ遊びに変えて読んだりしていました。どんどんページをめくりたがる赤ちゃん時にも、「あー、あおくんがきいろちゃんをさがしにいってーーーーみーつけた!」と、ものすごい省略したストーリーを展開して問題なし(笑)
絵や設定がものすごくシンプルで分かりやすいのに、ストーリーはなかなか奥深さがあって、「広がり」があるのも、この絵本の魅力。仲良くなって一緒になったら「みどり」という別のものになる、ってすごくステキなことなんじゃないのかな?でも、ほかのひとに分かってもらえなかったらどんな気持ちがする?少し、大きくなったらそういう風に物語を広げていってもいいと思います。「青と黄色が混ざったら緑になるんだよね。じゃあ、赤と黄色が混ざったらどうなるんだろう?」とか、科学的な興味の方にも話が広がります。
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