『おやすみなさい、おつきさま』
さく:マーガレット・ワイズ・ブラウン え:クレメント・ハード
やく:せた ていじ 出版社:評論社
アメリカで1000万部を超えて読み継がれている名作。子供の気持ちと視点に寄り添った絵本。
<概要>
大きな緑のお部屋の中で、これから眠ろうとしているウサギの坊や。お部屋の中のもの、窓から見えるもの、一つずつおやすみなさいを言いながら、いつの間にか夢の中へ。
<おすすめタイプ>
0、1歳児の赤ちゃんから。言葉が簡単なので、字が読めるようになったら自分で読み始めるのにもぴったりです。
<おすすめポイント>
アメリカの絵本作家マーガレット・ワイズ・ブラウンの代表作。マーガレット・ワイズ・ブラウンは、この他にも、同じクレメント・ハードの絵による『ぼくにげちゃうよ』やガース・ウィリアムズの絵による『ちっちゃなほわほわかぞく』など、名作をたくさん残しています。江國香織さんが大好きな絵本を紹介した『絵本を抱えて部屋のすみへ』でも、マーガレット・ワイズ・ブラウンを取り上げ、ご自身でも『うみべのおとのほん』の翻訳を手掛けているほどのお気に入りです。
ワイズ・ブラウンの絵本は、まさに「安心」そのものだ。読むことで心がしずかに落ち着くし、温かくて栄養のあるもので満たされる気がする。(略)魂の帰る場所がある、ということだと私は思う。(略)ワイズ・ブラウンの文章には無駄がなく、絵本の言葉にふさわしい洗練をされていて、とても詩的だ。
『絵本を抱えて 部屋のすみヘ』 江國香織
まず、暖かな暖炉が燃え、虎の皮の敷物や赤い風船のある、どこか古めかしさとポップな色調が同居した不思議なお部屋の様子が、子供の目を惹きつけます。視点が少しずつ変わって、部屋のあちこちに移動する様子が、ベッドにいるウサギの子供になり変わったように体験できます。部屋の全体を見渡したと思ったら、テーブルの上のおかゆやブラシにおやすみなさいを言ったり、お部屋の中の見えない誰かにおやすみなさいを言ったり、おばあさんのささやき声が聞こえたり、子供の視線に寄り添った不思議な臨場感が味わえるのがこの本の最大の魅力だと思います。
お部屋のもの一つ一つにおやすみを言っているうちに、こちらまで眠くなってくるので、おやすみ前の読み聞かせにもぴったりです。
内容はシンプルですが、絵だけでも楽しめる、言葉が平易なので自分でひらがなを読む練習にも使える、原文の英語のリズムが良いので、英語版を読み聞かせするのも楽しめる、など、色々広がりのある名作です。
<参考>
- マーガレット・ワイズ・ブラウンについてはWikipedia参照
- 江國香織さんの『絵本を抱えて 部屋のすみへ』はこちら
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