『くりすますのおはなし』
文:谷 真介 絵:柿本 幸造 出版社:女子パウロ会
『クリスマスのおはなし』
作:ジェーン・レイ 訳:奥泉 光 出版社:徳間書店
イエス生誕について、小さい子供でも分かりやすい言葉で語られた絵本2冊を選びました。
《おすすめタイプ》
女子パウロ会出版の方は、3、4歳くらいから。徳間書店版は、5歳くらいからがおすすめ。クリスマスに興味を持ち始めたら読み聞かせてあげてほしい。
《おすすめポイント》
明日はいよいよクリスマスイブ。この時期になると、クリスマス関連の絵本がSNSでもたくさんアップされていますね。
日本のクリスマスはハロウィンと一緒で、すっかりイベント化していて、宗教色は全くと言っていいほど無いですが、だからこそ、子供にはお馴染みのクリスマス、本当はどうしてお祝いするの?というのを絵本を通じて教えてあげたい。
クリスマスの元となるイエス・キリストの生誕についての絵本は数え切れないほどありますが、欧米の翻訳物は、意外と言葉が難しい。「幼な子」「救い主」「主」など、幼い頃から聖書に慣れ親しんでいる欧米の子供なら良いかもしれませんが、日本の小さい子供には聞き慣れない言葉が多く使われていて、堅苦しく感じてしまう子もいるかもしれません。
たくさんある中で、3、4歳くらいの小さな子供でも読みやすい、できるだけ平易な文章の絵本を2冊選んでみました。
女子パウロ会出版の『くりすますのおはなし』は、全てひらがなで書いてあって、言葉もとても簡単。読みやすい内容ながら、マリアの厩の出産、羊飼いたちを導くベツレヘムの星、東方3博士についてなど、基礎的なエピソードはしっかり盛り込まれています。絵は、このブログでも『しゅっぱつ、しんこう』や『どうぞのいす』をご紹介している、お馴染みの柿本幸造さん。イエスを覗き込むお馬さんが、相変わらずのくりくり目でとっても可愛くて微笑ましい雰囲気の素敵な絵です。
生誕説の翻訳絵本は、絵が美しいものが多くて、眺めているだけで楽しいですが、私のおすすめは徳間書店の『クリスマスのおはなし』です。イギリスの絵本作家ジェーン・レイの、どこかゴーギャンを思わせるようなエキゾチックで生き生きとした絵がとっても魅力的なんです。クリスマスの静謐な感じの絵も良いですが、敢えて極彩色な異国情緒漂う絵が、イエス・キリスト生誕地である中東の雰囲気をよく表しているのかなあ、なんて思います。
私は、自分自身がキリスト教系の幼稚園に通っていたのと、母が信仰を持っていた関係で家に聖書関連の絵本が置いてあったので、小さい頃から聖書のエピソードに割と馴染んでいました。そのことが、もう少し大きくなって、欧米の児童書や翻訳文学を読む上で、とても助けになったなあ、と後から気づきました。特に、欧米の児童書には優れたものが多いのに、聖書やキリスト教のことを全く知らないと、いまいち意味が分からなかったりしますから。もちろん、宗教的な話を無理して詰め込む必要もないと思いますが。自分の子供も特にミッション系の幼稚園とかではないので、クリスマス=サンタさんとしか思っていませんが(笑)、こんな風に、絵本やイベントを通じて興味をもつきっかけがあると良いなあ、と思っています。
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