【育児本言いたい放題】『「灘→東大理Ⅲ」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』 その3


前回の記事からの続きです。この本を読んで参考にしたい、と思ったこと。

  1. 母親が自ら勉強する、勉強することを楽しむ、自分も一緒にやる
  2. 子供はとにかくほめてほめてほめ倒す
  3. 人と比べない
  4. 叱る・怒るときは事前にシミュレーション
  5. 朝は絶対に怒らない
  6. 兄弟は公平にする
  7. 日本語の力を大事にする、早期の英語教育は必要ない
  8. 幼少期の勉強は「先取り」、成功体験を積んでやる気にさせる
  9. 無理に学校に行かせない
  10. 受験はルールを理解してテクニックを磨く

今回は8番以降について書きたいと思います。

幼少期の勉強は「先取り」、成功体験を積んでやる気にさせる

これは、自分の中には無い発想でした。元々私は、前回の記事でも引用した高橋孝雄先生が言うように《早期教育には意味がない》《たとえば早く自転車に乗れるようになった子と、小学2年生でやっと乗れるようになった子の運動神経の差はないと思います。早く乗れたからといって自転車選手になるわけじゃありませんし。つまり「早さ」に意味はない。遺伝子により決められた能力を、(環境要因で)押しつぶすことさえしなければ、必ずそれは必要なときに出てくるはずなんです》という意見に賛成で、「早くやれるようになる」ということ自体に意味はないと思っています。

ただ、この本で佐藤ママが言うように《幼少期の勉強のキモは「先取り」にいあり》《勉強を嫌がる子にはまず成功体験を与える》というのはなるほど、と思いました。あくまで子供が無理をしない、積極的に勉強することを楽しめる、という範囲であれば、親がある程度「先取り」させて、自分は勉強が得意なんだ、楽しい、という意識を早くに持たせるのも良いのかな、と思います。特に、幼少期は親の誘導によって差が出やすい時期です。そんなに無理して詰め込みしなくても、少し先取りしてあげるだけで、「自分はできるんだ!」という意識を持って前向きに勉強に取り組んでくれるようになればしめたものです。ただ、何度も言うように、それで子供に無理をさせたり、他と比較することで不自然な優越感や劣等感を感じさせるようになるのは本末転倒です。無理なく自然に「先取り」して勉強する環境を整えるためには、やはり親が自分で勉強して、子どもと一緒に生活の中で自然と知識習得が楽しめる、という工夫をする必要がありますね。

無理に学校に行かせない

これも大事なことだと思います。《子どもたちが小学校のうちは、積極的に学校を休ませていました。といっても、理由なくではありません。学校を休ませるということは、身体を休ませるということ。子どもにとってそれは、とても大切なことだからです》

正直、私は「佐藤ママ」のように教育熱心ではないので、子供にはなるべく学校に行って欲しいです、なぜなら、その方が自分が楽だから(笑)だけど、子供が疲れているのに無理して学校に行かせるのは、返って学校や勉強が嫌いになる原因にもなりかねないし、「本当に嫌だったらいつでも休んでいいんだよ」と言う雰囲気を普段から出しておくのは大事なことだと思っています。いじめとか子供が学校で本当に辛いことがあった時に、心理的逃げ道を用意しておくことにもなりますから。それから、今の子供はどうしても夜型になりがちなので、睡眠不足になりやすい、ということもあります。

受験はルールを理解してテクニックを磨く

受験はテクニックです。これは断言できます。頭の良さとはあまり関係がありません。学校側が多少工夫はできでも、結局、「順位をつけてふるいにかける」ということなので、どうしてもルール化して制度化されます。大規模になればなるほど一辺倒なルールで点数化されます。これは仕方のないことです。だから、そのルールや基準を理解して、それをクリアするテクニックを磨けば絶対に点数は上がります。

高校生になったらテクニックの磨き方は自分で身につければ良いと思いますが、小学生にはさすがに難しいと思いますので、「佐藤ママ」のように親がきちんとルールを理解して、戦略的にテクニックを磨くようにしてあげることは有効だと思います。私は中学受験をしていないので(子供に受けさせる予定も無いので)、中学受験のことはあまり知りませんが、この本によると《実力さえ徹底的につければどこにでも受かるのが中学受験》だそうです。ということは、大学受験ほど学校ごとの個別性が少ない、ということでしょう。だとしたら、「読み、書き、そろばん」の力をつける、漢字は徹底的に筆順を正しく覚えさせる、塾を効果的に使って問題パターンを繰り返し身につける、社会や理科は暗記が楽しくなる工夫をしてとにかく詰め込む、といったことが有効なテクニックになるでしょう。

この本では、中学受験だけでなく、大学受験のテクニックまで詳しく解説していますが、高校生にもなってこんなことを自分で考えられないヤツは大学など行かなくてよろしい、と私は本気で思っています。高校の時に一番頭を使ったのは、勉強そのものよりも、どうやって勉強するか、どうやってテクニックを磨くか、の方です。高校生にもなって、お母さんに一から十まで勉強法まで指図されなければならないような人は、はっきり言って受験勉強の他にもっとやるべきことがあると思います。ここは、《18歳までは子どもに関するすべてが親の仕事》だと言い切り、「子どもの学力を東大理Ⅲ合格レベルまで上げること」が、完全に自分の仕事である、と心に決めている「佐藤ママ」の価値観と全く相容れない部分です。大学受験の参考書まで母親が精査したり、過去問の答え合わせやセンター試験のオリジナル問題集を作るのをお母さんがやる、とかあり得ません。したがって、本書の「中学・高校編」「大学受験編」についてはかなり斜め読みしてしまいましたが、一つ言えることがあるとすれば、受験生本人がこの本を参考にするのは良いかもしれませんね。受験内容について解説した参考書は数多あれど、受験テクニックについて解説した本は少ないので(もしかしたら今は色々あるのかもしれませんが)、「佐藤ママ」のこういうテクニックや勉強法についての知識を、受験生自身が学ぶのはきっとプラスになると思います。

というわけで、私にとっては初めての育児本、最初に全否定した割には、いきなり3記事にわたるほど長くなってしまいました(笑)読んでみて思ったのは、こんなに基本的価値観が賛同できない著者の育児本であっても、意外と(というのは失礼ですが)参考になることが多いじゃないか!ということ。結構、目から鱗、的な感じでした。育児本、好きになってしまうかも(笑)これからもまた色々読んでみたいと思います。

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