『世界最高の子育て』をお得に読む
アメリカ人の夫との間に生まれた娘が、全米の女子高生が知性や才能、リーダシップを競う大学奨学金コンクール「全米最優秀女子高生」でワシントンDC代表として出場し、見事優勝を勝ち取ったことで一躍話題となったボーク重子さんの著書。
そもそも子育てに「世界最高の」とかあるのかよ、と鼻白む気持ちはもちろん、書き出しもビジネス書チックでなんだかなあ、と思いながら読み始めたけれど、中々面白かったです。
現代のアメリカのエリート教育の方針、考え方に触れる、という意味で、ただ子育て本というだけでなく、特に日本式教育で育てあげられた日本人の大人が参考になる内容でもあります。
中身もビジネス書のようにロジカルな仕上げになっているのでざっと説明すると、まず大きく5つの力が重要だ、と述べています。
- 自分で考える力
- コミュニケーション力
- 回復力
- 人間的魅力
- 協同する力
日本のお受験社会を象徴するような「佐藤ママ」の著書を読んだ直後だっただけに、「うんうん、そうだよね」「やっぱりそうでなきゃね」と少しホッとしたのも事実。「佐藤ママ」が体現する日本のお受験社至上主義は、ある意味で子供の「自分で考える力」を極力排除して、お受験に可能な限り注力する、というスタンスなので、真逆なことも多く載っています。
アメリカのエリート教育をそのまま日本に当てはめるのも難しいところはありますが、あまり大袈裟に構えずに読んで、日々の教育の中で取り入れられるヒントを見つけるには良いのではないでしょうか。
例えば、上にあげた5つの点のうち、「自分で考える力」を育てるために
- 小さい頃から自分で考える(レスポンシブクラスルーム)
- 実行機能
- クリティカルシンキング
を訓練することが重要である、と書かれていますが、
- 自分で考えられる力をつけるために、「あなたならどうする?」とか「イエス、ノーでは答えられない質問」を幼少期からできるだけたくさんする
- 実行機能を磨くために、大きなことを小さく噛み砕いてやらせる。例えば、お誕生日会を自分で計画させる、料理をさせる、など
- クリティカル・シンキングを磨くために、いろんなことに「Pros&Cons」(良い点と悪い点を整理した表)を作らせる
など、分かりやすい例が挙げられています。実行機能とか「Pros&Cons」とか、忙しい日常生活でやってらんないよ、って気持ちにもなりますが、日常的にやるのが難しければ、家庭のイベントだとか学校の自由研究だとかで取り入れたらいいと思いました。
「自制心を持つにはまず十分な睡眠が必要」とか「理由つきの「ちょっと待ってね」を習慣にすることで自制心を育む」とかも大事にしたい。
自分の中で一番参考になったのは、「失敗から学ぶ姿勢」を育てる、というところですね。実は、今小学3年生の娘が年々消極的になってる、というか、家ではそうでもないですが、学校では中々自己主張したりお友達に気楽に話しかけたりができないようなので、ちょっと悩んでいます。どうも完璧主義というか、間違いを極度に恐れる傾向があって、確かに普段もちょっとした言い間違いや勘違いですら絶対に認めようとしないところがあるので、気になっていました。まあ、下の子はまた違う性格なので持って生まれた性格というのもあるでしょうが、あまりに完璧主義だと窮屈だし、自分が息苦しくてもったいない気もします。
「ありのままのあなたが好きと言葉で伝える」「ポジティブなセルフイメージを持たせる」「人前で叱らない」などは気をつけているつもりなので、「何でもかんでも叱らない」「ダメという時は理由付きで」というあたりが肝かな、と。自分としては「叱る」というより「注意する」くらいのつもりで、ついついあれこれ言ってしまうのですが、子どもは「叱られてる」と受け取っているようです。「ママは優しいけどすぐ怒る」というのが娘の評価です(笑)
「ご飯だから席につきなさい」とか「長い時間ゲームやってるから一旦おしまいにしなさい」とかを2、3回言っても聞かないので、4回目に怒る、みたいな、、、あるあるですよねー。こんなつまらないことでも、「叱られてしまった」と子どもが受け取ることで、「叱られないように完璧に」というメンタリティを助長してしまうようなので、グッと我慢して「1、2回言ったらしばらく待つ」というのを心がけたいと思います。(叱られて凹むくらいなら初めからやれよ、とか思いますが、まあそこは子供だから仕方ないですね)
本の内容に戻ると、
ヘリコプター・ペアレンツ:過保護すぎる親、全てのお膳立てをする親、子供に集中しすぎて自分の人生を捧げてしまっているような親の総称として使われている
レジリエンス:逆境やトラウマ、ストレスなどの重大な原因に直面した時、うまく適応していく「弾力性」「精神的回復力」「折れない心」が世界のエリート校で最も注目されている
など、日本の教育や社会の中ではあまり聞かない言葉が出てきて、そちらもとても参考になります。
また、著者の娘さんは、学業だけでなくクラシック・バレエにも熱心で、毎年4万人の観客が訪れるというワシントンバレエ団との公演の主役オーディションで代役まで勝ち残るほどのレベルです。《娘がバレエに落ち着くまで実に15を超えるお稽古事を試しました》《3ヶ月と続かなかったものもありました》《始め方、辞め方にルールを設けることにより、やめても期限まっでやりきったという達成感を得ることが大切》といったことも、とても参考になりました。「習い事」については、また別の記事で書きたいと思いますが、この本の中で出てきた著者のママ友の一人ジュディの言葉《子供は、6年生〜8年生(日本でいう中学生)くらいから、より顕著に自分らしさを発揮していくので、私は子供たちが発する『興味のシグナル』を見逃さないように観察したの》というのも印象的でした。
コメント
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[…] れないオープンな質問をする」というのは、ボーク重子さんの『「全米最優秀女子高生」を育てた教育法 世界最高の子育て』の中でも何度か出てきました。意識的に「オープンな質問を […]