『男の子の一生を決める 0歳から6歳までの育て方』をお得に読むには
ブログを始めてから、今まで完全スルーしていた本屋の「育児書」コーナーをよく覗くようになった私が、意外だったこと。育児書の中には「男の子向け」「女の子向け」という性別分けのものがかなり多いのだ、ということ。特に「男の子向け」のものが多い。
私自身は一男一女の母ですが、特に赤ちゃんや幼児の頃は、性別を意識して育児する必要を余り感じてきませんでした。自分自身が兄2人という男兄弟の中で育ち、男の子の友達が多く、周りに男しかいない紅一点という環境が至極当たり前だったこともあり、特に社会に出るまでは「男と女の先天的な差って基本的に無いのでは」という気持ちが根本にあったと思います。
社会的な性差ということを抜きにすると、「男と女」で分ける必要って本当にあるのか、特に、赤ちゃんや幼児の教育で性差を意識する必要があるのか?というのは、未だに私の中で大きな疑問として残っています。だからこそ、「男の子向け」の育児本を読んでみたくなりました。
と言っても何から読んでいいかよく分からないので、とりあえず今ジャンルの中で売れているらしいものを選ぶ、といういつものパターン(笑)
で、結論から言うと、、、
育児書として間違ったことが書いてあるわけではないけれど、この内容だったら別に「男の子向け」と断定する必要もないんじゃないか
という感じでした(笑)
まず何より、科学的根拠が全く示されてない。だから、まあ間違ってはないけど、なんか新しい発見とか納得感があるかと言うと、別に、、、と言う感じです。
著者は「キッズコーチング協会」なるものを立ち上げている方で、この本でも「12000人の子どもを見てきた」と言っています。それは嘘ではないでしょうが、この本はそういう「たくさんの子どもを見てきた」実体験と実感からのみ書かれた本なので、そう言う意味では、保育園や幼稚園の先生方とあんまり目線は変わらないというか、ものすごく当たり前のことしか書いてありません。
つまり、一般的に「男の子ってこういう子多いよねー」と言うコンセンサスが前提になっていて、科学的な原因や解決法は全く示されていないのです。
例えば、この本の一部を引用すると、、、
男の子は自分の興味あることにしか集中しない
男の子には「ダメ!」を言いすぎない
一人で遊んでいるときは集中しているとき。そっとしておこう
男の子は・・・って言うか、子どもはみんなそうだよね、っていう(笑)
「育てにくい男の子の特徴」としては、大体、こんなコンセンサスがあるのではないでしょうか。
発話が遅い、コミュニケーションが取りにくい、ひとつのことに異常に執着する、癇癪を起こしたり手が出たりしやすい、
確かに、私も子どもを産んでみて、自分の周りの子だけ見ていると、こういうタイプは確率的には男の子に多いかなあ、という気はしています。ママたちの間でも、一般的にはこう言うコンセンサスは共有されているし、この著者のように大勢の子どもを見た方も同じ印象なのでしょう。しかし、本当にそれが科学的根拠があることなのかはよく分からないし、女の子でもそう言うタイプはいるし、最終的には個人差に集約される部分もある。
実際、うちの子どもだって、発話や歩行なんかの発育は確かに上の女の子の方が早かったけれど、下の男の子は喋り出したらまあ言語能力にはめちゃくちゃ長けているし、上の女の子の方が集中力やこだわりは強いし、なんとも一概には言えないよなあ、という気がしています。
「男の子ってこうだから」と言う一般的なコンセンサスに助長されているようなところもあるのかもしれないし、もう少し科学的かつ客観的なデータや根拠に基づいかないと何とも言えないよな、と言うのが、この本を読んだ感想です。
それに、正直、この本を読んで解決するレベルならば、わざわざ「男の子向け」の育児本を読む必要はないのでは、と思いました。先ほど挙げたようないわゆる「育てにくい男の子の特徴」が、とても顕著で、場合によっては発達障害とのグレーゾーンにあるような 男の子は確かにいます。傍から見ていても「大変だなあ」と思いますし、ちょっとやそっとの子育ての工夫くらいでは中々改善しなそうなケースもある。そういうケースで悩んでいるママには、余り「常識的」で「主観的」な子育て論は、「自分の育て方に問題がある」と言う負担になってしまう可能性もあるので、もうちょっと違ったアプローチが必要かな、とも思います。
あと、この本で「男の子はお父さんに認められたい」「お父さんがお手本を示すのが大事」みたいなことが書いてあるのも気になりました。シングルマザーやシングルファザーとか、どうすんじゃない、みたいな(笑)共働きで子育てを完全にイーブンで分担しているような親とかも想定してないみたいだし。まだまだ「お母さんがメインで子育て、お父さんがメインで仕事」みたいな伝統的ジェンダー観というか役割分担を前提にしている。日本ではまだそう言う家庭が多いので、一般的な家庭向けの育児書を出す、と言うのは別に構わないのですが、仮にも「性別」にこだわった内容にしておいて、これだけジェンダー的問題に無配慮なのは今どきどうなの、と思ってしまいました。。。
なんか、悪口ばかりになってしまったので、最後に、参考になりそうなとこを引用(←とってつけた感 笑)
何をするにも大人がそのやり方に口を出してしまっては、大切な考える力が育ちません。子どもが何かの問題にぶつかったり困ったりして親に助けを求めてきたときは、同じ言葉を繰り返してあげて行動を「承認」してあげたり、感情を言葉に表してあげて「共感」してやると、自分で行動する力をサポートできます。
子どもに本当に必要なのは「良い」「悪い」の評価ではありません。誰かに自分の痛みをわかってもらえることなのです。
まずは「いいよ」と言って欲求を受け入れ、少し待てば欲求はかなうことを教えてあげるのです。
ポイントは必ず「いいよ」と一度受け入れたあとに、今すぐではなく少し待てる程度の具体的な時間や日にちをはっきりと言うことです。
このあたりのことは、『モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリオ教育を知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士が語る自分でできる子に育つほめ方・しかり方』に書いてあったことと共通しています。
特に、小さな子どもが親に相談したり訴えたりしてきた時,親は良かれと思ってアドバイスしたり指導したりしてしまいがちです。でも、親がそうすることで,親の「評価」「判断」「意見」を子どもに押し付けることになってしまう。そうではなくて,ただ子どもの言ったことを繰り返して共感と承認を示してあげるだけで、子どもが満足し安心して、自分で考えて解決しようと促す。男の子女の子に関係なく、今の子育てにとても大事な視点だと思います。
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