ロングアイランドを舞台にした小説5冊・翻訳で読める英米文学の名作5選


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ロングアイランドを舞台にした小説5冊を紹介

ロングアイランドを知っていますか?ニューヨーク州の東南部に位置するアメリカ本土最大の島です。古くは、ロングアイランド貴族と呼ばれる人たちが豪邸を構え、現代では、ハンプトンなどニューヨークに住む富裕層の高級別荘地としても有名な場所です。ニューヨークとは、ブルックリンとクイーンズ地区を経由して、複数の橋やトンネルで繋がっていて、そういう意味では、ニューヨークのまぎれもない一部なのだけれど、ビルが立ち並ぶマンハッタンとは全く違う、という、不思議で魅力的な土地、ロングアイランド。

ロングアイランドは、高級別荘地ハンプトンズを含め、アメリカ人にとっては象徴的な場所として、数々の映像作品や小説に取り上げられてきました。私は以前からロングアイランドを舞台にした映画や海外ドラマで興味を持っていて、このブログでも「ロングアイランドより愛をこめて」という記事を書いています。今回は、ロングアイランドを舞台にした英米文学の名作小説5冊をご紹介したいと思います。

『グレート・ギャツビー 』 スコット・フィッツジェラルド

『グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)』をお得に読む

絢爛豪華な邸宅に贅沢な車を持ち、夜ごと盛大なパーティを開く男、ギャッツビーがここまで富を築き上げてきたのは、すべて、かつての恋人を取り戻すためだった。だが、異常なまでのその一途な愛は、やがて悲劇を招く。過去は取り返せる―そう信じて夢に砕けた男の物語。(「BOOK」データベースより)

今更、説明するまでもない、アメリカ文学最高傑作の一つ。私も何度も読んでいますが、読み直す度にため息をつくような傑作です。ギャツビーが豪奢な邸宅を構え、そして永遠の憧れとしてデイジーの邸宅の灯を夜な夜な見つめる、その場所こそ、ロングアイランド。マンハッタンまで続くクイーンズボロ橋、その合間にある荒れ果てた灰の谷、ロングアイランドの土地勘があれば、この作品をさらに楽しめるはず。『グレート・ギャツビー』は村上春樹さんが絶賛していることでも知られていますが、この『グレート・ギャツビー』と作中の有名な「緑の灯」、そして村上春樹さんとの関係については、ブログ内記事「ロングアイランドより愛をこめて」でも紹介していますので、興味がある方はご参照を。

『ゴールド・コースト』 ネルソン・デミル

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わたしはジョン・サッター、善良なる市民にして有能なる弁護士、そしてワスプの代表選手。妻は美しく知的で、ときに適度の淫蕩性も発揮する。ワスプ最後の牙城と目される超弩級の高級別荘地、このゴールド・コーストに邸宅を構え、乗馬に園芸にヨット遊びに日を送る。ところがある日、隣家に越してきたのがマフィアのドン…。(「BOOK」データベースより)

日本ではあまり知られていませんが、ネルソン・デミルは、幾つかのペンネームを駆使して、推理小説や社会派エンタメ小説など様々な作品を書いている人気作家です。生まれも育ちもロングアイランド、という彼が、慣れ親しんだ土地を舞台に極上のエンタメ小説を書いた作品がこちら。少々長いですが、度肝を抜かれるようなロングアイランド貴族の生活ぶりに、魅力的な彼の妻や隣に引っ越してきたマフィアのドンなど、魅力的なキャラクターに引き込まれて、ぐいぐいと読めてしまうこと間違いなし。滅びつつあるワスプ、台頭する移民、それでも広がる超絶格差、アメリカ社会の光と闇を描き出した極上エンタメ小説です。作中、『グレート・ギャツビー』の家が実際にはどのあたりにあったのか、と主人公が具体的に想像するシーンもあって、『グレート・ギャツビー』が好きな方にも是非読んでみていただきたい小説です。

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『結婚しよう』 ジョン・アップダイク

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僕たち結婚しよう。二人で新しい生活を始めるんだ…。お互いに家庭のあるジェリーとサリーは、人目をしのんで愛しあい、ついにそう決意する。それぞれの妻や夫との確執や対立を乗り越えて、彼らは晴れて夫婦になれることになるのだが…。アメリカ東海岸のロング・アイランド海峡に面した美しい町を舞台に、二組の若い夫婦がくりひろげる長い夏の日のラブ・ストーリー。(「BOOK」データベースより)

ジョン・アップダイクの長編小説。タイトルからの予想に反して、W不倫の物語です。2組の夫婦の一夏のゴタゴタを綿密に綴ったメロドラマチックなところもありますが、そこはさすがのアップダイク、繊細な心理描写や時折見える深い哲学的文章が妙に印象に残る作品です。ロングアイランド自体ではなく、ロングアイランド峡を挟んだコネチカット州の海沿いにある架空の街、グリーンウッドを舞台にしていますが、冒頭のロングアイランドを望む浜辺での美しく官能的な逢引シーンや、サリーのハイソな生活ぶりなど、ロングアイランドらしい描写が随所に散りばめられています。

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『未亡人の一年』 ジョン・アーヴィング

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1958年、4歳の少女ルースは両親の寝室から聞こえてくる奇妙な音に目覚め、母とアルバイトの少年エディの情事を目撃した。死んだ兄たちの写真が貼り巡らされた家。浮気をくり返す絵本作家の父。悲しみに凍りついた母は、息子たちの写真だけをもって姿を消した。この夏の出来事が幼いルースと16歳のエディの心に残したものは…。20世紀アメリカ文学を代表するベストセラー。遠い夏の日から37年。毀れた家族と一つの純愛の行きつく先は?圧倒的ストーリー展開、忘られぬ人物造形、緻密なディテール、胸を打つエピソード、そして登場人物の手になる小説内小説―。長篇小説の愉しみのすべてがここにある。(「BOOK」データベースより)

ジョン・アーヴィングの隠れた名作。2004年には、『ドア・イン・ザ・フロア』として映画化もされました。複数の主人公による視点、愛することと失うこと、親子の愛情と葛藤、小説という表現方法、様々なテーマが盛り込まれた長い作品ですが、主要な舞台となっているが、ロングアイランドです。90年代に入ってから出版された作品ですので、夏にはアメリカ全土から観光客が押し寄せるハンプトンズの街なみや渋滞など、現代に近い様子がリアルに描かれています。アーヴィングらしい奇抜な設定や展開と、ビビッドなキャラクター像と軽快なユーモアが交じり合った、至高の長編小説です。

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『ラブ&デス』ギルバート・アデア

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初老の英国人小説家デアスは、世の中の尊敬を集める文豪だ。ある日、雨宿りのつもりで入った映画館で、敬愛する文豪E・M・フォースターの文芸映画を観るつもりが、間違えてアメリカのティーン映画『ホットパンツ・カレッジ2』のチケットを買ってしまう。憤慨し、映画館を出ようとした瞬間、デアスはスクリーンに映ったアイドルの顔に目を奪われる。「なんと美しい」一目で心を奪われた彼は、それ以来、昼も夜もアイドルのことを考えて眠れぬ日々を送るが…。高尚な英国文化とアメリカン・ポップ・カルチャーが邂逅する、20世紀末版「ベニスに死す」。【「TRC MARC」の商品解説より】

小説家、詩人、映画評論家、ジャーナリストといくつもの肩書をもつ鬼才ギルバート・アデアの中編小説。原題は『Love & Death in Long Island』で、これは有名なトーマス・マンの『Death in Venice』にかけたもので、『ヴェニスに死す』をパロディ化したポストモダン文学らしい作品になっています。ポストモダン、というと難しく感じてしまうかもしれませんが、作者の意図どおり、ポップで軽快な仕上がりで、サラッと読めます。それでも、歴史的退廃的な魅力をもつ都市ヴェニスが、アメリカの典型的金持ちリゾート地のロングアイランドにとって代わられる、といったように、ちょっと意地悪で面白い仕掛けがたくさん隠してあるのが、この作品のすごいところです。

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まとめ

以上、アメリカ人にとっても特別の地、ロングアイランドを舞台にした小説をご紹介しました。ロングアイランドに行ったことのある人もこれから行きたいと思っている人も、こういった作品を通して、また新たなロングアイランドの魅力を発掘してみてください。ロングアイランドは映像化された作品も多いので、次はおすすめの映画やドラマ作品のリストも紹介していきたいと思います。

他にもおすすめ本や小説、映画などあるよ!と言う方は、是非、コメント欄か、インスタグラムのメッセージなどでお知らせください。

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