沖縄を舞台にした小説おすすめ10冊・沖縄出身の小説家から直木賞作家まで、沖縄の初心者にももっとディープな沖縄を知りたい人にもおすすめ


目次

沖縄を舞台・題材にした小説10冊を紹介

皆さんは沖縄、好きですか?

私は沖縄が大好きで、離島を含め、何度か旅行で脚を運んでいます。

行く度に、違った顔を見せてくれる不思議な魅力をもつ沖縄。沖縄のことがもっと知りたくて、あるいは、沖縄に行く余裕がない時にはその気分だけでも味わいたくて、沖縄を舞台・題材にした小説を探しました。

今回は、そんな中で、私が実際に読んで面白かったもの、沖縄への興味や知識を深めてくれたもの、を厳選してご紹介したいと思います。

と言っても、沖縄の捉え方やイメージは人によって様々。美しい自然や独特の風土にスピリチュアルな魅力を感じる人もいれば、どこか猥雑な街のパワフルさとワイルドさに魅力を感じる人もいます。始めは沖縄の海や自然の美しさに惹かれて何度も訪れるうちに、悲惨な戦争の記憶や複雑な歴史的背景に興味を持っていく人も多いのではないでしょうか。

そこで、一応、目安として沖縄初心者向け、中級者向け、上級者向け、と段階を分けてみました。あくまで目安なので、好きな作家さんの作品や興味を引かれた作品は、是非一度、トライしてみてください!


沖縄のカフェや町など旅行気分で楽しむ・・・初心者向け

沖縄を舞台にしたおすすめ小説⒈『なんくるない 』 よしもとばなな

『なんくるない』をお得に読む

相手が離婚を言い出さなければ自分から言い出したはずだった。なのにこんなに悲しくて心にしこりが残ったままなのは何故なんだろう――。堂々巡りの自分から抜け出すために決めた沖縄旅行。がじゅまるが運んできてくれた出会いによって、私は自分自身を許すこと、誰かを自然に好きになる尊さを知った。
表題作「なんくるない」始め、「ちんぬくじゅうしい」「足てびち」「リッスン」を収録。沖縄を愛するすべての人々へ捧げる小説集。(「BOOK」データベースより)

よしもとばななさんの沖縄をめぐる素敵な短編集。沖縄ブームのきっかけともなった、沖縄のスピリチュアルな魅力をたっぷりと詰め込んだ作品集です。よしもとばななさんの簡潔な、でも心に染みる美しく研ぎ澄まされた文章が味わえます。これを読んで沖縄に旅した方も多いはず。初心者には絶対に外せない作品です。

引用はこちら

沖縄を舞台にしたおすすめ小説⒉『ファイアーキングカフェ』 いしかわ じゅん

『ファイアーキング・カフェ』をお得に読む


私は魂を東京に落としてきたに違いない。居場所をなくした男たちが、生きる意味を探す女たちが、自分の場所を求めて那覇の街にやってくる。それぞれの思いを、東シナ海からの湿気の底に沈めて。今日の那覇と人を描いた連作長編。(「BOOK」データベースより)

いしかわじゅんさんは、漫画家としてデビューした後、エッセイや小説家としても活躍するマルチプレーヤー。もう20年以上も前から、沖縄を第二の家として年の半分近くを沖縄で過ごしているそうです。そのいしかわじゅんさんが、「よそ者たちが流れ着く場所」としての沖縄・那覇を描いたのがこちらの連作集。那覇の市場や国際通り、やちむん工房といった旅行者にもお馴染みの場所から、さらにディープな那覇の様子も描かれていて面白い。全編、どこか明るさとほろ苦さの入り混じったお話になっていて、カフェでしみじみと読むにもぴったり。自分だけのファイアーキングカフェを探してみたくなります。

引用はこちら

沖縄を舞台にしたおすすめ小説⒊ 『首里の馬』 高山 羽根子

『首里の馬』をお得に読む

【芥川賞(163(2020上半期))】中学生の頃から沖縄の郷土資料館の資料整理を手伝う未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいる人たちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーター。ある台風の夜、庭に迷いこんできたのは…。『新潮』掲載を単行本化。(「TRC MARC」の商品解説より)

高田羽根子さんの芥川賞受賞作。様々な記憶を詰め込んだ郷土資料館、世界の果てと繋がる不思議なオペレーターの仕事、そして台風の夜に迷い込んできた幻の首里の馬・・・不思議なエピソードが散りばめられた物語の中に、沖縄の重層的で複雑な姿が浮かび上がります。どこかスピリチュアルな魅力を秘めた街、それでも現実と日常に塗りこめられていく町、悲しい破壊的な記憶を秘めた土地、いろんな沖縄を感じてみてください。

書評記事はこちら

沖縄を舞台にしたおすすめ小説⒋ 『メタボラ』 桐野 夏生

『メタボラ』をお得に読む

もはや僕らには、絶望すらも許されないのか……。
記憶喪失の〈僕〉と島を捨てた昭光の、行くあてのない逃避行。社会から疎外された若者たちを通じて現代の貧困を暴き出した問題作。記憶を失った〈僕〉は、沖縄の密林で故郷を捨てた昭光と出会う。
二人は名前を変えて新たな人生を歩もうとするが、非情なヒエラルキーに支配された実社会に、安住の地は見つからない。孤独、貧困、破滅の予感。逃げろ! 何処へ?底辺に生きる若者たちの生態を克明に描き、なお清新な余韻を残す傑作ロードノベル。(「honto」商品案内より)

人気作家、桐野夏生さんの長編小説。いしかわじゅんさんの「ファイアーキングカフェ」が「よそ者たちが流れ着く場所」としての那覇を描いているとすれば、この中の登場人物たちは、まさにその底辺でうごめいているたくさんの若者たち。日雇い、ルームシェア、一日千円のドミトリー、松山のホストクラブ、そしてネット自殺・・・そこに怪しげなカリスマリーダーや政治活動まで絡んできます。ちょっとダークでディープな沖縄が楽しめる、サスペンスとハードボイルドが入り混じったエンタメ小説です。

沖縄の歴史や文化を味わう・・・中級者向け

沖縄を舞台にしたおすすめ小説⒌ 『ツタよ、ツタ』 大島 真寿美

『ツタよ、ツタ』をお得に読む

明治の後期に、沖縄の士族の家に生まれたツタ。父親の事業の失敗によって、暮らしは貧しくなり、父親が亡くなったことで母と二人きりの暮らしになった。しかし、女学校の友人・キヨ子の家で音楽や文学に触れるうち、「書くこと」に目覚める。
雑誌の短歌欄へ投稿を始め、千紗子という筆名に出会い、自分の裡にあるものを言葉にし始めた。窮屈な世界から自分を解き放つ術を得たツタは、やがて「作家として立つ」と誓う。
高校卒業後の教員としての仕事、異国での結婚、愛する我が子との別れ、思いがけない恋愛――さまざまな経験を経て、ツタはとうとう作家としてデビューする機会を得た。昭和七年、婦人雑誌に投稿した短編小説が意外な形で評価されたのだ。
ところが、待ち受けていたのは、思いもよらない抗議だった……。
『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で直木賞を受賞した著者が、実在した「幻の女流作家」と呼ばれるひとりの女性の数奇な運命を描く。(「honto」商品案内より)

直木賞作家の大島真寿美さんが、実在した知人の祖母のエピソードに着想を得て書き上げた長編小説。沖縄が舞台となるのは前半部分だけですが、後半では様々な事情で内地に出て行った沖縄人達とのエピソードが出てきます。内地に出て行った沖縄の人々は、差別意識と同胞意識が微妙に入り混じって複雑。内地の人間から一方的に美化されるだけではない、沖縄に生きる人々の姿が描かれています。

沖縄を舞台にしたおすすめ小説6.『太陽の子』 灰谷 健次郎

『太陽の子』をお得に読む

ふうちゃんが六年生になった頃、お父さんが心の病気にかかった。お父さんの病気は、どうやら沖縄と戦争に原因があるらしい。なぜ、お父さんの心の中だけ戦争は続くのだろう? 著者渾身の長編小説!

児童文学でも有名な灰谷健次郎さんの長編小説。沖縄出身の両親を持ちながら今は神戸の港町の片隅に暮らす小学校六年生の娘ふうちゃんが主人公です。ふうちゃんが両親と同じように内地に出てきた沖縄人たちと交流しながら、少しずつ沖縄の歴史と向き合い、成長していく姿が描かれています。小学校高学年から読める作品ですが、ふうちゃんのお父さんが苦しめられる沖縄の戦争の傷跡は深く、大人が読んでも考えさせられる重厚さがあります。扱っている問題は重たいけれど、ふうちゃんという次を託された世代の強さとしなやかさも感じられる、とても素敵な作品です。

沖縄を舞台にしたおすすめ小説7.『宝島』 真藤 順丈

『宝島』をお得に読む

しのびこんだ米軍基地で突然の銃撃。混乱の中、故郷(シマ)いちばんの英雄が消えた。英雄の帰還を待ち望みながら沖縄(ふるさと)を取り戻すため立ち上がる、グスク、ヤマコ、レイ。長じて警官となり、教師となり、テロリストとなった幼馴染たちは、米軍統治下の時代のうねりに抗い、したたかに生き抜こうとする。第160回直木賞、第9回山田風太郎賞、第5回沖縄書店大賞、三冠達成の傑作!

第160回直木賞、第9回山田風太郎賞、第5回沖縄書店大賞、三冠を達成した話題作。戦後、米軍統治下にある沖縄を舞台にした、迫力あるエンタメ長編小説です。米軍統治の実態、米軍軍人による犯罪や飛行機墜落事故などで住民たちが苦しめられる様子、その中で高まっていく住民たちの政治的活動、さらにはその結果として起こった有名なコザ暴動など、本土復帰までの沖縄の歴史を辿ることができます。沖縄基地の存在がなぜ住民たちにこれほど重大なのか、この小説を読むことで、少しだけ理解のヒントになるかもしれません。

沖縄の悲しい戦争の歴史、複雑な立場を理解する・・・上級者向け

沖縄を舞台にしたおすすめ小説8.『太陽の棘』 原田 マハ

『太陽の棘』をお得に読む

この著者にしか描けない、沖縄と美術の物語!終戦後の沖縄。米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす集落――ニシムイ美術村に行きつく。
警戒心を抱く画家たちだったが、自らもアートを愛するエドは、言葉、文化、何よりも立場の壁を越え、彼らと交流を深める。だがそんな美しい日々に影が忍び寄る――。
実話をもとにした感動作!

大人気作家原田マハさんの長編小説。原田マハさんは沖縄を題材にした『カフーを待ちわびて』という小説も書いていて、こちらもライトな素敵な作品ですが、もう少し深く知りたい、という方におすすめなのがこちら。終戦直後の沖縄を舞台に、沖縄の画家たちの姿を、一人の米軍軍医の目を通じて描いています。珍しい沖縄美術について知るきっかけにもなりますし、沖縄の人たちが本土の政府と米軍たちとの狭間でどのように都合よく利用され使い捨てられたか、という歴史的問題についても考えさせられます。

沖縄を舞台にしたおすすめ小説9.『琉球処分』 大城 立裕

『琉球処分』をお得に読む

清国と薩摩藩に両属していた琉球――日本が明治の世となったため、薩摩藩の圧制から逃れられる希望を抱いていた。ところが、明治政府の大久保利通卿が断行した台湾出兵など数々の施策は、琉球を完全に清から切り離し日本に組み入れるための布石であった。琉球と日本との不可思議な交渉が始まったのである。

沖縄出身の作家、大城立裕さんが描いた歴史小説。廃藩置県に伴い、独立した琉球王国から最終的に明治政府の統治下に一つの県として組み入れられることになる、いわゆる「琉球処分」の顛末を、史料に基づき小説化した作品です。琉球王国と明治政府の交渉のやりとりを忠実に再現していて、はっきり言ってまどろこっしく、決して読みやすい作品ではありません。でも、沖縄というものの歴史的に非常に複雑な立ち位置、それまでは独立した王国でありながら、薩摩藩と中国の両方に半属するような微妙な立場であったことがよく伝わってきます。

沖縄を舞台にしたおすすめ小説10. 『水滴』 目取真 俊

『水滴 』をお得に読む

徳正の右足が突然冬瓜のように膨れ始め、親指の先から水が噴き出したのは六月半ばだった。それから夜毎、徳正のベッドを男たちの亡霊が訪れ、滴る水に口をつける。五十年前の沖縄戦で、壕に置き去りにされた兵士たちだった…。沖縄の風土から生まれた芥川賞受賞作に、「風音」「オキナワン・ブック・レヴュー」を併録。(「BOOK」データベースより)

沖縄出身の作家目取真俊さんの短編3編を収めた本。芥川賞を受賞した表題作と次に収録されている「風音」は、沖縄戦の壮絶さとそれが人々に残した傷の深さを偲ばせる作品です。どちらも読みごたえがありますが、最後の収録作品「オキナワン・ブック・レヴュー」も、まるで実在するかのようなブックレビューを通して、複雑な沖縄の様相を描いていくという一風変わった秀逸な作品。上級者には是非読んでいただきたい本です。

まとめ

以上、沖縄を舞・題材にした小説10冊を、初級編、中級編、上級編と分けて紹介してみました。

他にもおすすめ本や小説、映画などあるよ!と言う方は、是非、コメント欄か、インスタグラムのメッセージなどでお知らせください。

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