ヴェネツィア・ベネチア・ベニス・ヴェニスをよりよく知るためにおすすめの本6冊を厳選・旅行に行く前に、旅行に行けない時にも(ヴェネツィアブックリスト日本人作家編)


目次

ヴェネツィアをもっと知りたい、浸りたい、ガイドブックでは物足りない時のおすすめ本6冊を紹介

ヴェネツィア、ベネチア、ベニス、ヴェニス。古くからあらゆる文学作品や映像作品に取り上げられてきた水の都です。西欧はもちろん、日本でも多くの人がその魅力に惹かれ、取り上げられてきました。この記事では、そんなヴェネツィアをもっと深く知りたい、ガイドブックでは物足りない、今すぐには旅行に行けないけれどあの独特の雰囲気に浸りたい、そんな方におすすめのエッセイや小説、6冊を紹介します。欧米の古典や名作でヴェネツィアを扱ったものは数多くありますが、この記事では日本人の現代作家が書いた比較的読みやすいものをセレクトしましたので、ヴェネツィアに行ったことがある方も、これから行く予定の方も、ぜひ参考にしてみてください。

『ヴェネツィア暮し』 矢野 

世界史上、その存続自体が僥倖ともいわれる、海の都ヴェネツィアに暮したとき、通りすがりの旅人には見えにくい、さまざまな現象や風景が見えてくる。―歴史、美術の話題をも交えて贈る、人なつっこく、ノスタルジックな滞在記。(Amazon商品紹介 より)

評論家兼ジャーナリストでもある矢島翠さんが、1983年から約8ヶ月間、ご主人の仕事の関係でヴェネツィアの街に暮らした思い出を綴ったもの。少し古いですが、ヴェネツィアの現実的な街の暮らしや様子と、歴史や美術や芸術などについてのエピソードが、バランスよく盛り込まれていて、入門編としては特におすすめの一冊です。お店や住居やゴミなど、旅行者としてだけでなく、生活者としての視点が綴られているのも貴重です。

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『ピエタ』 大島 真寿美


18世紀、爛熟の時を迎えた水の都ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で“合奏・合唱の娘たち”を指導していた。ある日、教え子のエミーリアのもとに、恩師の訃報が届く。一枚の楽譜の謎に導かれ、物語の扉が開かれる―聖と俗、生と死、男と女、真実と虚構、絶望と希望、名声と孤独…あらゆる対比がたくみに溶け合った、“調和の霊感”。今最も注目すべき書き手が、史実を基に豊かに紡ぎだした傑作長編。(Amazon商品紹介 より)

第161回直木賞を受賞した大島真寿美さんの長編小説。2012年本屋大賞第3位に選ばれて話題になった作品です。『四季』で有名なヴィヴァルディを題材にしたもので、18世紀のヴェネツィアを舞台としていますが、とても平易な言葉で書かれているので読みやすいです。ヴィヴァルディの音楽はもちろん、カナレットの風景画、ゴンドラ、カーニバル、コルティジャーナと呼ばれた高級娼婦、などなど、ヴェネツィアならではの風物詩や歴史的文化的背景も随所に織り込まれていて、物語に浸りながら楽しめます。

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『対岸のヴェネツィア』 内田 洋子

伊日財団ウンベルト・アニェッリ記念ジャーナリスト賞受賞!
名手がいざなう幻都の風景──。 ミラノからヴェネツィアに移り住んだ著者が出会った音楽と猫が好きな老人。彼から招待されて行ってみると(「所詮、ジュデッカ」)。風を読む島の女性たち(「女であるということ」)。千年分の公文書を電子化する研究者たちが目指す先(「紙の海」)。閉ざされたゴンドラ乗りの世界に挑む異郷の女性に立ちはだかる壁(「ゴンドラ」)。世界が憧れる街の日常を描き、住民を通して幻都の表裏を切り取る随筆。(集英社HPより)

イタリア在住の日本人ジャーナリスト内田洋子さんが、ある日突然決意してミラノからヴェネツィアに移住し、様々な思い出深いエピソードを語ったエッセイ集。内田洋子さんは、『ジーノの家』で日本エッセイ・クラブ賞と講談社エッセイ賞を受賞した他、イタリアの書店員連盟「金の籠賞(GERLA D’ORO)」を史上初めてイタリア人以外で受賞するなど、日伊両方で様々な賞を受賞されています。そんなイタリアを知り尽くした内田洋子さんが綴るヴェネツィアは、必ず引き合いに出される歴史や芸術といった分野のエピソードには殆ど触れず、旅行しただけでは分からない姿で描き出されています。ヴェネツィアに行ったことはあるけれど、少し違った視点でこの街を見つめてみたい、そんな方にもおすすめです。

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『ヴェネツィア 美の都の一千年』 宮下 久朗


水の都ヴェネツィアは、たぐい稀な「美の都」でもある。千年以上にわたり独立を保ち「アドリア海の女王」と呼ばれた都市国家は、ティツィアーノらの天才画家を生み、ヨーロッパ中から一流芸術家が集まった。町のあちこちに息づき、いまも新しさを加えている建築や美術を切り口に、ヴェネツィアの歴史と魅力を存分に紹介する。(Amazon商品紹介 より)

ヴェネツィアの美術建築について知りたい、と言う方におすすめ。宮下規久朗さんは、西欧の宗教芸術史に詳しい方なので、いわゆるヴェネツィア派と呼ばれる絵画だけでなく、教会建築などについての説明も充実しています。もちろん、ヴェネツィア派の祖となるベッリーニ、そこから繋がっていくカルパッチョ、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼにティエポロなど、有名な画家たちの作品についても、影響を与えた他の画家たちの作品なども取り上げながらわかりやすく解説してくれています。新書ですが、専門的な知識に裏付けられた、非常に読み応えのある一冊です。

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海の都の物語ヴェネツィア共和国の一千年』塩野 七生

ローマ帝国滅亡後、他国の侵略も絶えないイタリア半島にあって、一千年もの長きにわたり、自由と独立を守り続けたヴェネツィア共和国。外交と貿易、そして軍事力を巧みに駆使し、徹底して共同体の利益を追求した稀有なるリアリスト集団はいかにして誕生したのか。ヴェネツィア共和国の壮大な興亡史が今、幕を開ける。「ルネサンス著作集」中の大作、待望の文庫化、全六冊。(Amazon商品紹介 より)

言わずと知れた、日本におけるイタリア史の権威、塩野七生さんの代表作です。それまで日本人が抱いていた「優雅で」「退廃的な」観光都市ヴェネツィアのイメージを大きく覆した作品でもあり、これを読んでヴェネツィアに興味を新たな興味を抱いた日本人も多かったと思います。(私です笑)最新の文庫版で全6冊と、かなりのヴォリュームになりますが、ヴェネツィアに興味がある方なら、やはり押さえておきたい本です。史実や史料を巧みにミックスしながらストーリーを展開する、と言う、塩野七生さん独自の小説スタイルが非常に生きている作品でもあります。ヴェネツィアの歴史を知りたいなら、まずこれを読んでから。『ヴェネツィア暮らし』で矢野翠さんが言及し、大島真寿美『ピエタ』や宮下規久朗『ヴェネツィア美の都の一千年』で主要参考文献として挙げられるなど、日本人作家に大きな影響を与えた本でもあります。

『ヴェネツィアの宿』須賀敦子

ヴェネツィアのフェニーチェ劇場からオペラアリアが聴こえた夜に亡き父を思い出す表題作、フランスに留学した時に同室だったドイツ人の友人と30年ぶりに再会する「カティアが歩いた道」。人生の途上に現われて、また消えていった人々と織りなした様々なエピソードを美しい名文で綴る、どこか懐かしい物語12篇。(Amazon商品紹介 より)

最後は、日本におけるイタリア文学と文化の第一任者である須賀敦子さんの著作から。表題作をはじめヴェネツィアをめぐるエッセイが幾つか収録されてますが、内田洋子さんの『対岸のヴェネツィア』が、著者自身の思考については殆ど語らないのに対し、こちらは「ヴェネツィア」という街をきっかけに、須賀敦子さんの個人的な思い出、記憶、内証的な考察に読者は惹きつけられていきます。こんな思索を誘うような不思議な魅力がヴェネツィアにはある、そんなことを感じられる一冊です。他とは違ったヴェネツィアの魅力に浸る本を読みたい、という上級者向け。

まとめ

おすすめの本は以上です。冒頭でもお話したように日本人の現代作家が書いた、比較的読みやすいものをセレクトしました。欧米では幾つもの名作に取り上げられていますので、もっと深めたい、という方は「ヴェネツィアブックリスト古典・名作編」の方も是非ご覧ください。また、美しい景観は、文学だけでなく、映画作品にも適して多く取り上げられてきました。ヴェネツィアを舞台にしたおすすめ映画リストも公開していますので、映画好きの方はこちらのチェックもお忘れなく!

他にもおすすめ本や小説、映画などあるよ!と言う方は、是非、コメント欄か、インスタグラムのメッセージなどでお知らせください。

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