冬におすすめの小説・第2弾!!冬の季節感溢れる小説8冊を厳選。海外文学や翻訳小説が好きな方にもおすすめ【2022年・最新版】


一体、衣替えはいつすればいいの?ついこの間まで、汗ばむ陽気だったのに、いつの間にか、街はハロウィンからクリスマス一色になり、いよいよ冬が近づいてきました。昨年、このブログで、「冬におすすめの小説10選!」を紹介しましたが、今年も冬におすすめの小説10選をご紹介したいと思います。今回も文豪の作品から現代作家の作品まで、国内海外を問わず、幅広いジャンルの作品をそろえてみました。冬だからこそ心温まりたい、身も凍るような徹底的な寒さに浸りたい。冬の感じ方は人それぞれ。できるだけ偏らないように色々なタイプの作品を混ぜてみましたので、ぜひ、あなたのお気に入りの「冬の一冊」を見つけてください。

目次

《日本編》

『氷点』 三浦 綾子

『氷点』をお得に読む

辻口病院長夫人・夏枝が青年医師・村井と逢い引きしている間に、3歳の娘ルリ子は殺害された。「汝の敵を愛せよ」という聖書の教えと妻への復讐心から、辻口は極秘に犯人の娘・陽子を養子に迎える。何も知らない夏枝と長男・徹に愛され、すくすくと育つ陽子。やがて、辻口の行いに気づくことになった夏枝は、激しい憎しみと苦しさから、陽子の喉に手をかけた―。愛と罪と赦しをテーマにした著者の代表作であるロングセラー。

「BOOK」データベースより

三浦綾子さんの代表作。北海道出身の三浦綾子さんの作品は、いつもどこかに北国の冬の厳しい寒さを感じさせます。愛しい我が子を殺した犯人の子供を愛することができるのか?「汝の敵を愛せよ」というキリストの教えを、卑小な人間は本当に実行することができるのか?重たいテーマながら、ドラマティックと繊細な心理描写で、読者をぐいぐいと引っ張っていく三浦綾子さんの作品は読みだすとクセになること間違いなし。小説自体は、特に冬の季節が中心というわけではないのですが、特に物語の後半から、重苦しいテーマと、タイトルが暗示する息詰まるような感情的極限状態で、凍てつく冬の寒さと厳しさがひしひしと感じられます。冬だからこそじっくりと向き合って読んでみたい、一冊です。

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド 村上 春樹

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』をお得に読む

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。 

「BOOK」データベースより

村上春樹の長編小説。ハードボイルドな現実世界と、主人公の頭の中にある幻想的世界「世界の終り」という二つのパラレルワールド。二つの物語が並行的に進行していく、という面白い構成です。この小説を冬におすすめした理由は、「世界の終り」の物語が、幻想的な冬の雰囲気に満ち満ちているから。金色の夕陽に迫る一角獣たち、その一角獣たちが次々と死んでいく冬の訪れ、暖炉の前で延々と続けられる夢読み・・・まるでどこか遠い外国のおとぎ話を思わせるような世界観に、温かい飲み物を啜りながら引き込まれていく・・・極上の冬の読書タイムをどうぞ。

書評はこちら

『冷たい校舎の時は止まる』 辻村 深月

『冷たい校舎の時は止まる』をお得に読む

冷たい校舎の時は止まるの全1-2をセットにした商品です。雪降るある日、いつも通りに登校したはずの学校に閉じ込められた8人の高校生。開かない扉、無人の教室、5時53分で止まった時計。凍りつく校舎の中、2ヵ月前の学園祭の最中に死んだ同級生のことを思い出す。でもその顔と名前がわからない。どうして忘れてしまったんだろう――。第31回メフィスト賞受賞作。

BOOK」データベースより

辻村深月さんの長編推理小説。第31回メフィスト賞を受賞し、コミカライズもされた人気作品です。雪の中に閉じ込められた8人の高校生たちが、学園祭の最中に死んだ同級生の謎を解き明かしていく、というストーリー。ミステリーで冬と言えば、雪で閉じ込められたシチュエーションというのは鉄板ですが、この作品は、密室で事件が起きるのではなく、過去に起こった事件を密室で解き明かしていく、という心理的緊迫感がミソ。この震えは寒さなのか恐怖なのか?登場人物たちと共に読者を追い詰めていく描写が秀逸です。どんなに部屋を暖かくしても震えてしまう・・・そんな寒さの真髄が味わえます。

『キャロリング』 有川 浩

『キャロリング』をお得に読む

クリスマスに倒産が決まった子供服メーカーの社員・大和俊介。同僚で元恋人の柊子に秘かな思いを残していた。そんな二人を頼ってきたのは、会社に併設された学童に通う小学生の航平。両親の離婚を止めたいという航平の願いを叶えるため、彼らは別居中の航平の父親を訪ねることに――。逆境でもたらされる、ささやかな奇跡の連鎖を描く感動の物語。

Amazon商品紹介ページより

人気作家、有川浩さんの長編小説。両親との暗い過去に悩まされ、同僚の恋人ともうまくいかなくなってしまった主人公の男性。彼の恩人が経営し、新入社員から勤めてきた会社はクリスマスに倒産が決まっていますが、そのクリスマス前数か月間、彼が知り合った小学生の男の子を助けながら、自分の過去も乗り越えていきます。ストーリー展開は結構無理やりなところもありますが(笑)、ユーモア溢れるテンポ良い会話、登場人物の視点が様々に移り変わる面白さ、で軽快に読めてしまいます。タイトル通り、幾つかのクリスマス・キャロルの歌詞にのせて章が分かれている、なんてこころにくい仕掛けもあり。クリスマス季節に読むにはぴったりの小説です。

⒌『流しのしたの骨』 江國 香織

『流しのしたの骨』をお得に読む

いまはなにもしていず、夜の散歩が習慣の19歳の私こと子、おっとりとして頑固な長姉そよちゃん、妙ちきりんで優しい次姉しま子ちゃん、笑顔が健やかで一番平らかな‘小さな弟’律の四人姉弟と、詩人で生活に様々なこだわりを持つ母、規律を重んじる家族想いの父、の六人家族。ちょっと変だけれど幸福な宮坂家の、晩秋から春までの出来事を静かに描いた、不思議で心地よくいとおしい物語。

「新潮社」HPより

江國香織さんの長編小説。一見穏やかに見えつつ、かなり変わった宮坂家の一冬の物語です。江國香織さんの作品は、夏のおすすめ小説リストの常連ですが、季節感を語らせたらピカイチの作家さんなのではないでしょうか。この作品も、どこか懐かしい、でも今ではずいぶん優雅に感じられる宮坂家の暮らしぶりは、冬に読んでほっこりするのにぴったり。それでいて、タイトルの「流しのしたの骨」のように、日本の古い家屋の薄暗がり、台所の床下から感じられるうすら寒さ、のようなものも感じられて、複雑な味わいになっています。

海外文学編》

氷』 アンナ・カヴァン

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異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて姿を消した少女を追って某国に潜入した私は、要塞のような“高い館”で絶対的な力を振るう長官と対峙するが…。迫り来る氷の壁、地上に蔓延する略奪と殺戮。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで、世界中に冷たい熱狂を引き起こした伝説的名作。

「BOOK」データベースより

この小説を説明するのは中々難しい。知る人ぞ知る、アメリカの孤高の作家アンナ・カヴァンの代表作です。迫り狂う巨大な氷に追われながら、謎の少女を求めて終末の世界をさまよう主人公。アンナ・カヴァンは、ヘロイン中毒に苦しみ若くして亡くなった作家で、この作品もどこか病的で暗い終末観に彩られながら、読む者に不思議な臨場感と迫力を感じさせます。ぜひ、厳冬の最中に読んで、心の芯まで冷え込むような寒さをとことん感じてみてください。

『キャロル』パトリシア・ハイスミス

『キャロル』をお得に読む

クリスマス商戦のさ中、デパートのおもちゃ売り場でアルバイトをする十九歳の女性テレーズは、美しい人妻と出会う。彼女の名はキャロル。テレーズは恋に近い気持ちを胸に、キャロルに誘われ自動車旅行へ。二人を待つ運命を、彼女たちはまだ知らない…サスペンスの巨匠ハイスミスが匿名で出した幻の恋愛小説、待望の本邦初訳。

「BOOK」データベースより

パトリシア・ハイスミスは、アラン・ドロン主演で映画化された『太陽がいっぱい』などの小説で知られるアメリカの女性作家。ミステリー作家として有名ですが、こちらの『キャロル』は、ハイスミスのミステリーではない、知る人ぞ知る傑作です。生き生きとしたディティール、繊細な心理描写、急に読む者の胸に切り込んでくるような深い洞察・・・すべてが素晴らしいの一言。ちょうどクリスマス直前のニューヨークから物語が始まり、主人公の女性が愛する女性の名前は「キャロル」というところから、冬に読むのにぴったりの小説です。とにかく、手の中のマグカップをゆっくりと啜るように、しみじみと物語と文章を味わってほしい作品です。

『白い人たち』F・H・バーネット

『白い人たち』をお得に読む

『小公子』『小公女』『秘密の花園』で世界的に有名な女流作家フランシス・H・バーネットの幻の名作『THE WHITE PEOPLE』の完訳本! 死者の魂が見える少女が、スコットランドの僻地の自然の中で、神秘的・幻想的な美しさで描かれる。

「文芸社」HPより

バーネットは、『小公女』や『小公子』で有名なアメリカ児童文学作家ですが、実はイギリス出身。そのバーネットの隠れた名作がこちらのスコットランドを舞台に描かれた神秘的な物語『白い人たち』です。スコットランドと児童文学と言えば、有名な『赤毛のアン』の作家L・M・モンゴメリは、スコットランド系移民で、『赤毛のアン』の中にも、スコットランドの伝説や文化の影響が色濃く出ています。どこか「この世の果て」的な神秘的な魅力をもつ土地、スコットランド。その吹きすさぶ風を偲びながら冬の読書を楽しむにはぴったりの小説です。『赤毛のアン』がお好きな方にも是非おすすめしたい。

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