名言・名文・名句 『神の代理人』 塩野七生


ここに、世に賞めそやされる使命感に燃えた人間の持つ危険と誤りがある。たしかに彼らには、狭い意味での利己心はない。だが、高い使命のために一身を捧げると思いこんでいるために、迷いや疑いを持たないから、独善的狂信的になりやすい。それで現実を見失う。だから、やり方は大胆であっても、やるひとつひとつが不統一になるのである。結果は失敗に終る。

一方、利己的な野望から出発した場合は、それを達成するためには、手段は常に有効でなければならない。そのために行動の最中も疑いを持ち続けるということになり、独善的狂信的にはなりえないから、現実を見失うことはない。やり方は、同じく大胆不敵だが、そのひとつひとつが統一された政策につながっていることは、有効を第一とするところから、当然の帰結である。この場合は、成功か否かは、運が決める。

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