数年前から、サロンやクラブやカフェ、新しい文化やビジネスの火付け役となる非公式なネットワークやコミュニティの歴史に興味をもって、自分なりに勉強を続けている。
歴史的な興味と並行して、例えば、松岡正剛『 ボランタリー経済の誕生 』、小林弘人&柳瀬博一『 インターネットが普及したら、ぼくたちが原始人に戻っちゃったわけ 』、小林弘人『ウェブとはすなわち現実社会の未来図である』などを読んで、現代のネット技術をそういったネットワークの発展にどう役立てられるのか、という点にも興味がある。
佐渡島庸平さんは、私がぼんやりと「こういうことやったら面白いだろうなあ」と思っていたことを、まさにビジネスとして実践していて、読んでいて為になるというだけでなく、何というか、ワクワクしてとても刺激になる本だった(偶然ながら、大学の一年後輩かと思うとそれも刺激になる)
《どのように情報を減らすのか、それが仕組みでできていくといい。情報の一つ一つに意思決定をするのではなく、どのコミュニティに入るかだけを意思決定する。》
《今、多くの人が抱えているのは情報が欲しいという欲望ではない。関係性を築きたいという欲望だ。》
情報過多の時代だからこそ、また、色々な規範やしがらみや固定観念が打破されている現代だからこそ、新しい人間関係やコミュニティが求められている。ここまでは、よく言われていることだし、観念的にも理解しやすいけれど、それを実際にどう自分の趣味や興味や仕事に繋げていくのか。佐渡島さんの実践する編集ビジネスやコルクラボというコミュニティのあり方は、参考になる点が多い。
また、ビジネスでコミュニティを利用している人は非常に多いが、佐渡島さんは、「コミュニティ創生」ということにこだわって、自分の中でそれを理論化しようとしているところが、この本の面白いところだと思う。
《今のSNSは、あまりにもオープンで、ポリティカルコネクトが求められすぎる。》
《リアルな空間で、安全・安心を確保するためにやっている工夫を、ネットにも取り入れることが重要だ。ネット空間にリアルと同じような身体性を持たせないと、安心な空間が生まれない》
《一回のコミュニケーションで完璧に」から「不完全な短いコミュニケーションで何度も」に変わっている。》
SHOWROOMの創業者前田裕二さんの著書『人生の勝算』からは、コミュニティの5つの要素を引用している。
・余白の存在
・常連客の存在
・仮想敵をつくること
・秘密やコンテクスト、共通言語
・共通の目的やベクトルを持つこと
新しいネットワーク、コミュニティをどうやって築いていくのか、示唆に富む内容が多く、本当に刺激になる本だった。
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