秋におすすめの小説10選!読書の秋に読みたい、季節感を感じられる小説を厳選。大人の秋、青春の秋、恋愛の秋、秋の夜長を楽しめる秋の小説。海外文学や翻訳小説が好きな方にもおすすめ


秋におすすめの小説10冊をご紹介

日中の日差しの強さに比べ、朝夕の涼しさにハッとする、秋の訪れを感じる季節になりましたね。今まで、春のお花見シーズンや夏におすすめの小説などを紹介してきましたが、今年は深まる秋にじっくり読みたい、秋におすすめの小説リストをご紹介したいと思います。

一口に秋と言っても、初秋から晩秋まで、秋の見せてくれる表情はさまざま。初秋のどこか甘く切ない爽やかさ、深まっていく秋の紅葉に彩られた美しさ、そして晩秋の侘しさや物悲しさ、、、小説の中の秋はいつも饒舌過ぎるくらい印象的です。文豪の名作から、海外小説、日本の人気作家の作品、ティーンでも楽しめる青春ものなど、できるだけ幅広く選んでみました。それでは行ってみましょう!!

青春の

『伊豆の踊り子』 川端 康成

旧制高校生である主人公が孤独に悩み、伊豆へのひとり旅に出かける。途中、旅芸人の一団と出会い、そのなかの踊子に、心をひかれてゆく。清純無垢な踊子への想いをつのらせ、孤児意識の強い主人公の心がほぐれるさまは、清冽さが漂う美しい青春の一瞬……。ほかに『禽獣』など3編を収録。巻末の三島由紀夫による「解説」は、川端文学の主題と本質についてするどく論じている。(「Amazon」商品紹介ページより)

今更紹介するまでもなく、ノーベル文学賞を受賞した文豪川端康成の代表作。『雪国』と並んで、読んだことある方も多いと思いますが、この作品の季節が初秋であることを覚えている方はどれくらいいるでしょうか。短い作品ですが、美しい伊豆の初秋の描写が、初々しくでもどこか切ない淡い初恋を際立たせていて、とても印象的です。ぜひ、文豪の秋の描写に注目しながら読んでみてください。古典的名作なので、色々なバージョンで読むことができますが、ご紹介した新潮文庫版は、三島由紀夫の解説が秀逸なことに加え、併録されている「温泉宿」が晩秋から冬にかけての季節が感じられる作品なので、初秋の「伊豆の踊り子」と続けて読むにもおすすめの一冊になっています。

『夜のピクニック』 恩田陸

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。(「BOOK」データベースより)

中高生の秋は、行事のシーズン。体育祭や文化祭など、学校最大のイベントが行われると同時に、その中で友情や恋愛のドラマを経験する忘れられない季節です。こちらの小説は、ミステリー作家として人気の恩田陸さんの代表作。徹夜で80キロを歩き通すというちょっと変わったイベントを通じて、主人公の高校生たちの繊細な心理が、ミステリー仕立てのストーリーでにのって瑞々しく描かれた傑作です。夜間歩行中に、若い主人公が何気ない季節や自然の移ろいに目をとめる描写も素敵で、秋に読むにはぴったりの小説です。

『十一月の扉』 高楼 方子

双眼鏡の中に、その家はふいにあらわれた。十一月荘――偶然見つけた素敵な洋館で、爽子は2ヵ月間下宿生活を送ることになる。十一月荘をとりまく、個性的ながらもあたたかい大人たち、年下のルミちゃんとのふれあい、耿介への淡い恋心・・・・・・そして現実とシンクロする、もうひとつの秘密の物語。 「迷うようなことがあっても、それが十一月なら前に進むの」。十一月の扉を開いた爽子を待ち受けていたのは・・(「Amazon」商品紹介ページより)

作者の高楼さんは、児童文学で優れた作品を幾つも手がけていますが、この『十一月の扉』は、文学少女の憧れがぎゅっと詰まった、大人でも楽しめる素敵な小説。十一月ってちょっと微妙な季節ですよね。大きなイベントも終わってしまって、クリスマスや年末まではまだ間があるし、どんどん肌寒くなって物悲しい季節。そんな十一月が急にかけがえのない大事な月に思えてくる。十一月に心寂しくなったら、ちょっと少女時代に戻って心暖まりたい、そんな気分にぴったりの本です。

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大人の恋、恋愛の秋》

『錦繍』宮本輝


「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛し合いながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る―。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。(「BOOK」データベースより)

秋に読む恋愛ものは、激しい情熱を内に秘めつつも、しっとりとした情緒漂う物語がいい。そんな人におすすめなのがこの宮本輝さんのこの小説。往復書簡という形式で、著者の美しい文章が際立ちます。紅葉に染まる蔵王での再会と「錦繍」というタイトルは、紅葉の季節に読むにはぴったり。恋愛だけでなく、命の儚さと不思議、人生の悲哀と力強さといった、奥深いテーマを秋の夜長にしみじみと感じてください。

⒌『秋の日のヴィオロンのため息の』森 瑤子

シャワーを浴びた後、純白のバスタオルで身体を包み、オーソバージュをすり込み、肌色のシルクの下着をまとう。そして、冷えたグラス1杯のシャブリとシガリロを1本。自分を確実に幸せな気持ちにしてくれる小道具たちを配置して、阿里子は外出の仕度をする、男に会いにいくための。経済的にも、美貌にも恵まれている38歳。しかし、この1年位、阿里子の身辺は騒がしい。人生の秋の日にさしかかっている、と気づいた時、阿里子は潔い決断をする…。シリアスな問題をしゃれた会話体で、華麗な空間の中に浮きぼりにした長篇小説。(「BOOK」データベースより)

今では読む人も少なくなった森遥子さんですが、大人の恋愛を描かせたらピカイチ。今では中々味わえないバブリーでスノッブな雰囲気に浸れるのも、彼女の小説の魅力の一つ。都会の秋は、洒脱に軽く、それでもじんわりと物寂しさを滲ませています。都会の秋と女の秋を重ねた、思い切りスノッブな雰囲気にどっぷりと浸かってください。

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⒍『ブラームスはお好き』フランソワーズ・サガン

美貌の夫と安楽な生活を捨て、人生に何かを求めようとした聡明で美しいポール。ディスプレー・デザイナーとして自立し、ロジェという恋人をもつ三十九歳の彼女に、十五歳も年下の美しい金持の息子シモンが夢中になる。彼女を真剣に恋したシモンは、結婚を申し込むが……。
孤独から逃れようとして織りなす複雑な男女のもつれを描く、パリの香りに満ちた四番目の長編小説。

フランソワズ・サガンも、森瑤子と同じく(と言うよりも、森瑤子がサガンを真似ているんだけれども)、都会派の恋愛小説に素敵なものが多いです。こちらは、パリの秋の雰囲気が存分に味わえる秀作。まだ二十代前半の彼女が、人生の秋に差し掛かる40手前の女性の心理を、これだけ見事に繊細に描いたことに、読みながら驚かされます。文中に季節の描写はそんなに多くないのに、ところどころで、踏みしだく枯葉の匂いが立ち上ってくるようなサガンの美しい文章がとても印象的です。

切ない秋》

⒎『デッドエンドの思い出』よしもとばなな

つらくて、どれほど切なくても、幸せはふいに訪れる。かけがえのない祝福の瞬間を鮮やかに描き、心の中の宝物を蘇らせてくれる珠玉の短篇集。

よしもとばななさんの短編集。短編集なので、取り上げられている季節は秋だけではないのですが、晩秋の描写が美しい表題作をはじめ、切なさと温かさが微妙にミックスした物語は、秋にしみじみ読むのがとてもしっくりきます。文庫版の表紙も秋をイメージしたイラストで素敵です。恋愛だけではなく、家族、思い出、優しさと寂しさ、人生や命の儚さと不思議、色々な思いとテーマが交錯する、よしもとばななさんらしい短編集。

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『秋のホテル』 アニータ・ブルックナー

秋。スイス。ジュネーブ湖畔のホテル・デュ・ラック。女性作家イーディスは、英国を追われるようにこのホテルへやってきた……。現代の愛のかたちを真摯に探る女の孤独な心理を描く、ブッカー賞受賞作。「一読をすすめたい秀作」(丸谷才一氏評、晶文社HPより)

ブッカー賞受賞作ながら、日本ではあまり知られていないアニータ・ブルックナーの中編小説。秋にジュネーブ湖畔のホテルにやってきた女主人公。主人公の孤独な思索と繊細な心理を読んでいくうちに、いつしか読者もジュネーブ湖畔のホテルに迷い込んでいくような気分になります。旅気分を味わいたい時にもおすすめ。

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『秋の』 北村 薫

絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を苛酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され、ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。文化祭準備中の事故と処理された女子高生の墜落死―親友を喪った傷心の利恵を案じ、ふたりの先輩である『私』は事件の核心に迫ろうとするが、疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日、利恵がいなくなった…。(「BOOK」データベースより)

ミステリー作家北村薫さんの、連作シリーズの一つ。登場人物のメインは若い女性達のミステリーですが、文学部所属の主人公が、フローベールや伊藤左千夫など、古典的文学作品について思いを巡らせたり、史跡を訪ねたりする描写も多く、文学的な香りが味わえるのも、この作品の醍醐味の一つ。タイトルにもついている「秋の花」の秋海棠や、ふと気づく百舌(もず)の囀りなど、日本の古典的秋の描写が楽しめます。

10. 『1973年のピンボール』 村上春樹

さようなら、3フリッパーのスペースシップ。さようなら、ジェイズ・バー。双子の姉妹との“僕”の日々。女の温もりに沈む“鼠”の渇き。やがて来る一つの季節の終り―デビュー作『風の歌を聴け』で爽やかに80年代の文学を拓いた旗手が、ほろ苦い青春を描く三部作のうち、大いなる予感に満ちた第二弾。(「BOOK」データベースより)

村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』に続く中編小説。ちょうど、散文風のデビュー作と三部作の最終作の長編『羊をめぐる冒険』の中間に位置する作風は、他の二作品と読み比べてみると、村上春樹にファンとしては面白いかもしれません(ちなみに、商品紹介では三部作となっていますが、『ダンス・ダンス・ダンス』も一応繋がった話になっているので、四部作の方が正しいかも)。村上春樹の小説も、さほど量は多くないのに、所々に出てくる季節の描写がとてもビビッドで印象的です。こちらの作品も、「季節って秋だっけ?」と思う方もいるかもしれませんが、印象的なストーリーやキャラクターの中に挟まれた秋の描写がとても繊細で美しいので、ぜひ、秋の雰囲気に浸りながら読んでみてください。

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