昨年から日本最大のフェルメール展が上野の森美術館、そして現在では大阪市立美術館で開催され大きな話題になっているが、この作品は、ヨハネス・フェルメールの超有名な「真珠の耳飾りの少女」の誕生秘話を綴ったフィクションである。2003年にスカーレット・ヨハンソン主演で映画化された。
画家フェルメールの家に女中として住みこみを始めた一人の少女が主人公。少女はフェルメールの意地悪な妻や娘に怯えて暮らしながら、陰ながら彼を慕い、やがて彼の絵の手伝いを任されるようになり、少女から女性へと開花していく・・・彼のストーリーは勿論、全て作者の想像なのだけど、フェルメールが生きていた時代や場面の再現はとてもリアリティに溢れていて、そこに、謎めいたこの魅力的な作品の生まれるまでが、作品と同じように静謐にでも官能的に描かれている。
恥ずかしながら、フェルメールが当時のオランダ人には珍しくカトリック教徒であることを、この作品を読んで初めて知った。それまでは、フェルメールの描く布や石などマテリアルの圧倒的な質感が、オランダ商人たちのプロテスタント的文化の表れかな、なんて思っていたのだが。でも、それだけではないフェルメールの作品の魅力、神秘的な深い精神性みたいなものは、カトリック絵画的な要素から来ていたんだな、とこれを読んで納得した。
来日中のフェルメール作品を見に行きたいけれど、フェルメール人気が高過ぎて、約7年前に国立西洋美術館で開催された「フェルメール展」の激コミぶりに辟易して帰ってきた記憶がある・・・やっぱり、オランダの日差しが差し込む静謐な雰囲気の中で見たいなあ・・・って贅沢か。
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